晩秋の風が冷たく感じられる季節、老後の生活や資産について見直しを始めている方も多いのではないでしょうか。NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の調査では、多くの人が「高齢のおひとりさま」になった将来に不安を感じているものの、具体的な対策に踏み出せていない現状が明らかになっています。
今回は、特に不安の大きい「お金の管理」に焦点を当て、最高裁のデータをもとに、認知症などで判断能力が低下した際に生活を守る成年後見制度がどのように機能するのか、その具体的な役割と利用のステップについて解説します。
1. 「高齢おひとりさま」どんなことが心配?準備はしてる?
NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が公表している「第2回終活意識全国調査」によると、「高齢のおひとりさま」になった場合の困りごととして以下のことが挙げられました。
「高齢おひとりさま」になったら何が困る?
- 医療・介護関連系:70.7%
- 経済的管理・手続き・死後の手続き:66.6%
- 心理的・社会的要因系:52.8%
- 日常生活の維持困難系:47.2%
- リスク・緊急対応系:38.7%
調査によると「高齢のおひとりさま」になった場合に困るであろうこととして、「介護が必要になったとき」や「死後の手続きを頼める人がいない」といった医療・介護関連系や、経済的管理・手続き・死後の手続きなどが挙げられています。
一方で、将来「高齢のおひとりさま」になったときの準備について、「関心はあるが、具体的な行動(準備)はしていないと回答したのは全体で36.5%という結果でした。
これに対して、何らかの準備をしている人は全体で約28.8%という結果でした。また、準備の「関心はあるが具体的な行動はしていない」と答えた人も34.7%いるため、多くの人が不安を感じつつも行動に移せていない現状が浮き彫りになっています。これらの結果から、身近な困りごとへの対策も含め、安心して老後を過ごすための具体的な行動が求められていると言えます。
【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)
- 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
- 調査対象 :20~89歳の男女
- 調査地域 :全国
- 調査方法 :インターネットリサーチ
- 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
- 回答者数 :2,052名
- 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
- 調査委託先 :株式会社マクロミル

