4. 負担増の時代、どのように対応すべきか
負担が増える一方、手取り収入が増えていかない状況で、私たちは将来の生活に向けてどのように備えていけばよいのでしょうか。
社会保険料の負担増については、なかなか自分でコントロールできません。そのため「納める税金をいかに適切な額にするか」や「資産をどう増やし、守るか」がポイントになります。
税負担を抑えつつ資産を増やす制度として「iDeCo」や「NISA」があります。iDeCoは自分で掛金を拠出して運用し、運用結果を年金や一時金として老後に受け取れる制度です。運用した資金の引き出しは60歳からとなるため、年金以外の備えをつくるのに適しています。加えて、掛金がすべて所得控除の対象となるため、所得が少なくなり税負担も減らせます。
NISAは、非課税で資産運用できる制度です。通常投資で得た利益には20.315%の所得税(復興特別所得税含む)や住民税がかかりますが、NISAで運用したお金には税金が課されません。そのため、利益を無駄なく受け取れます。少額から積立投資ができるので、初めて投資に挑戦する人でも利用しやすい制度です。
額面の収入だけでなく、手元に残る資産をどう増やして守っていくかが、これからは重要になるでしょう。
5. まとめ
年収は過去10年間で確かに増えましたが、国民負担率も同様に増加を続けています。所得税や住民税、社会保険料は所得に応じて決まるお金であり、今後も収入に比例して増え続けていくことが予想されます。
資産の増やし方や守り方を理解し、早いうちから将来に備えることが求められます。
参考資料
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等を公表します」
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
- 財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」
- 厚生労働省「給付と負担について」
石上 ユウキ