2.3 老後資金の蓄え

また、調査結果でもあったように、多くの人が貯蓄の目的として意識するのが、老後の経済的な安心です。近年、物価の高騰による生活費の上昇や、長寿化にともなう老後期間の長期化などを背景に、自らの力で老後資金を確保することが重要視されるようになっています。

定年を迎えて現役を退くと、多くの場合、それまでの収入を維持することは難しくなります。 「のんびり旅行がしたい」 「趣味に思いきり時間を使いたい」 そのようなセカンドライフを送るためには、年金収入だけでは足りず、現役時代の貯蓄を取り崩しながら生活していくことになる可能性が高いのです。

だからこそ、老後の生活設計と、そこに向けた必要資金の算出は必要不可欠です。自分が思い描く老後を実現するために、できるだけ早い段階から必要な資金額を考え、そこに向かって計画的に資産を形成していきましょう。

3. おわりに

今回は、年代別の貯蓄額参考値として、平均値と中央値を一覧で見ていきました。必要なものを考える際に「平均的に」や「一般的に」という考え方をしたくなりがちですが、貯蓄においては必ずしもそのような考え方をする必要はありません。

同じ年代でも貯蓄額には大きな開きがあり、その背景には一人ひとり異なる人生設計があります。大切なことは、「自分はどう生きたいのか」という問いと向き合い、自分自身にとって必要な数字を導き出すことです。あなたにとって「もしも」に備える安心料はいくらか、実現したいライフイベントは何か、どんな老後を送りたいのか...これらを明確にすることが、必要な貯蓄への第一歩となります。

今回の数値はあくまでも参考として、ご自身の将来に必要な貯蓄額をぜひ考えてみてください。

参考資料

斎藤 彩菜