1. おひとり様の貯蓄事情

まずはじめに、金融資産を保有している単身世帯における、貯蓄の実態を見ていきます。

1.1 単身世帯の貯蓄「平均値・中央値」

金融資産を保有している単身世帯における、年代別の貯蓄額の平均値・中央値の一覧は以下の通りです。

単身世帯の年代別貯蓄額(平均値と中央値)

単身世帯の年代別貯蓄額(平均値と中央値)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとに筆者作成

【20歳代】

  • 平均:260万円
  • 中央値:100万円

【30歳代】

  • 平均:700万円
  • 中央値:305万円

【40歳代】

  • 平均:1342万円
  • 中央値:355万円

【50歳代】

  • 平均:1859万円
  • 中央値:600万円

【60歳代】

  • 平均:2363万円
  • 中央値:960万円

【70歳代】

  • 平均:2257万円
  • 中央値:1000万円

1.2 平均値と中央値とは

今回のデータで比較対象となっている、「平均値」と「中央値」の違いとそれぞれの特徴について、簡単にご説明をします。

【平均値とは】
全世帯の貯蓄額を合計し、世帯数で割った数値です。少数の富裕層がいると、その影響で数値が大きく引き上げられます。

【中央値とは】
全世帯を貯蓄額順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄額。統計データのうち、「半数」が中央値に満たない貯蓄額であり、平均値よりも「一般的な」貯蓄額の数値と考えられます。

1.3 統計結果からわかること

統計データを見ると、すべての年代において平均値と中央値に大きな差があることが明らかになっています。特に40歳代、50歳代ではこの差が最も顕著です。

今回お示ししたデータは「金融資産保有世帯」のみを対象としており、金融資産を持たない世帯は含まれていません。

もし非保有世帯も含めて計算すれば、中央値はさらに低下し、平均値との差はより拡大するでしょう。

平均値と中央値の差異は、一部の富裕層とそれ以外の層との間に、大きな貯蓄格差があることを示しています。