2025年も、残すところひと月半となりました。これからの季節は、年末調整やふるさと納税の駆け込みなどをきっかけに一年の収支を俯瞰する機会が増えますね。

働き盛りの40歳代、50歳代の方々にとって、「老後の生活」は避けて通れないテーマでしょう。会社員として長く勤めてきた男性の中には、「自分は厚生年金があるから、それなりに大丈夫だろう」と漠然と考えている方もいるかもしれません。

しかし、実際にあなたが受け取る年金額がいくらになるのか、その金額で本当に希望する老後生活を送れるのか、具体的なイメージはできていますか?

この記事では、日本の公的年金制度の仕組みを改めて振り返りつつ、最新の統計データに基づき、会社員男性の厚生年金受給額のリアルな分布に焦点を当てます。

さらに、現在の高齢者世帯が日々の暮らしをどう感じているかという「生活意識」の調査結果もご紹介。

年金だけでは現役時代と同じ生活レベルを維持することが難しいという現実も見えてきます。2026年を前に、ご自身の老後資金計画を見直すきっかけとして、ぜひご活用ください。

1. 日本の公的年金制度は「国民年金&厚生年金」の2階建て

日本の公的年金制度は、1階部分にあたる「国民年金」と、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、2階建て構造です。

1.1 【国民年金】1階部分

  • 加入対象:原則、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料:全員一律、年度ごとに見直しあり(※1)
  • 年金額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降に満額の基礎年金(※2)を受給できる(未納期間分に応じて減額調整)

※1 国民年金保険料:1万7510円(2025年度の月額)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:6万9308円(2025年度の月額)

1.2 【厚生年金】2階部分

  • 加入対象:主に会社員、公務員など
  • 保険料:収入に応じて(上限あり)決定する報酬比例制
  • 年金額:加入期間や納付保険料により決定(国民年金に上乗せして支給)

国民年金の保険料は「全員一律」ですが、厚生年金の保険料は「報酬比例制」です。そのため、現役時代に「国民年金」または「厚生年金」のどちらに加入していたかで、老後の受給額に大きな差が出ます。

厚生年金の場合、毎月の給与や賞与などの「報酬」に、所定の保険料率を乗じて保険料を決定します。そのため、納付する保険料は人それぞれ異なります。