6. 公的年金で足りなければ個人年金・企業年金で補う方法も
冒頭で年金は「2階建て」と紹介しましたが、これは国の制度として存在する公的年金にかぎった話です。実際にはこれに上乗せする形で「個人年金・企業年金」といった年金を上乗せすることができます。
企業年金は、主に所属する企業(厳密には公務員・団体等を含む)が福利厚生の一環として設定している追加の年金制度です。月額給与等から天引きする形で掛け金を拠出し、老後に運用資産を年金として支給します。制度設計は企業や団体により異なります。掛金の一部または全部を企業が負担するケースもみられます。
また、個人が任意で加入する個人年金もあります。たとえば確定拠出年金制度であるiDeCoもその一つです。iDeCoでは、自分で掛け金と運用する金融商品を決めて、年金資産の形成を進めます。
60歳以降になると年金資産を取り崩し、年金・一時金の形で受け取れる制度です。そのほか、民間の生命保険会社などが年金の役割を果たす金融商品を販売しています。
しばらくの間保険料という形で掛け金を支払い、一定の年齢到達後に年金や一時金として受け取れる商品性です。
個人年金・企業年金を活用すれば、老後の安定収入をさらに増やすことができます。公的年金の受給額に不安を感じる方は、早いうちからほかの年金の活用を検討するとよいでしょう。
7. 将来の年金額を把握し、計画的な資産形成を
この記事では、公的年金の平均受給額や働き方による違い、さらに最も高い年金額について解説しました。厚生年金と国民年金では受給額に大きな差があり、特に現役時代の加入期間や収入が将来の年金額を左右することがわかります。
高齢者世帯の家計は公的年金が大きな柱ですが、それだけでは十分でないケースも少なくありません。その場合は、iDeCoや民間の個人年金保険といった私的年金を活用し、上乗せの収入源を確保することも有効な手段です。
まずはご自身の将来の年金見込額を把握することが、老後資金計画の第一歩です。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などを活用して、具体的な金額を確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「た行 特定事業所」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
中本 智恵