3. 厚生年金「月15万円以上」受給者は約47%にとどまる
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「14万6429円」です。なお、この金額には1階部分の国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています。
受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。
3.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金を月額15万円以上受給している人は、全体の半分に満たない47.6%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。
4. シニア世帯のリアルな「月26万円」所得構成
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。
まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
しかし、これはあくまで全体の平均値です。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
4.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。
5. 【つけ足し0715_52】高齢者世帯の平均所得額と構成(国民生活基礎調査)
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
5.1 高齢者世帯の平均所得金額
(カッコ内は総所得に占める割合)
総所得:314万8000円 (100.0%)
【内訳】
- 稼働所得:79万7000円(25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円 (4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)
高齢者世帯の平均総所得は年314万8000円、月額に換算すると約26万円です。
主な内訳は、所得の3分の2を占める月額約16万6000円の「公的年金」と、約2割を占める月額約5万5000円の「雇用者所得」です。
この所得構成からは、高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。
※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む
6. 年金受給額と所得の現実から考える「豊かな老後への種まき」
今回は、厚生年金の受給実態と、高齢者世帯のリアルな所得事情を見てきました。
厚生年金の平均は月14.6万円ですが、月15万円未満が半数を超えるという「分布の現実」。
そして、高齢者世帯の平均所得(月約26万円)は、公的年金(月約16.6万円)に加えて、雇用者所得(月約5.5万円)などで補われているという事実。
これらは、40代、50代の私たちが将来設計を立てる上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。
「平均像」ですら、何らかの形で働き続け、収入を確保しているのです。
ご自身の「ねんきん定期便」を確認し、まずは将来の年金見込額を把握することから始めましょう。
その上で、新NISAなどを活用した資産形成を今から進めることが、未来の選択肢を増やすことにつながります。
年末に向け、今年の家計を振り返るとともに、未来のお金についても計画を立ててみませんか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
マネー編集部年金班


