5. 【老齢年金】「税金や社会保険料」が天引きされるケースも
年金額は3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。
物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
またシニアの多くは、下記の税金や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
6. 「ご自身の年金情報」をチェックしておきましょう
ここまで、2カ月に1度の年金支給日に「夫婦で約46.5万円」を受給する世帯の、年金額例について解説しました。
現役時代は毎月給与が支払われますが、年金生活に入ると2カ月分の年金が偶数月にまとめて支給されます。
そのため、老後の家計はより計画性をもつことが大切です。
今回ご紹介した年金月額は、あくまでも額面となっています。
実際は、税金や社会保険料が天引きされて、手取りの年金はより少なくなる可能性があります。
受給額には個人差がありますので、ねんきん定期便やねんきんネットなどで「ご自身の年金情報」をチェックしておきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
安達 さやか
