私たちの給与からは、毎月税金や社会保険料が差し引かれます。そのため、実際に支給される給与は、額面から多少減額された金額です。なかでも厚生年金保険料は負担割合の大きなお金です。
この厚生年金保険料ですが「給与が増えていないにもかかわらず保険料が上がっていて、手取りが減っている」という経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。
なぜ給与が増えていないにもかかわらず、社会保険料が引き上げられ、手取りが減るのでしょうか。この記事では、厚生年金保険料の仕組みや手取りが減る要因を解説します。
1. なぜ給与が増えないのに厚生年金保険料が上がるの?
給与が増えないにもかかわらず厚生年金保険料が上がる要因は「手当」の金額が変わるためです。厚生年金保険料は、毎月の基本給で決まるわけではありません。通勤手当や時間外手当なども、保険料の算定基礎に含まれるのです。
たとえば、鉄道運賃の値上げにより、通勤手当も月あたり3000円増えたとします。この場合、厚生年金保険料は、手当の3000円も含めた総支給額をもとに計算します。
また、繁忙期で時間外労働が増え、1万円ほど収入が増えたとしましょう。この場合も、時間外手当の1万円を含めて、厚生年金保険料を計算します。
厚生年金保険料は、毎年4・5・6月の給与をもとに決定されるため、この期間に時間外労働が増えると、給与が増えていなくても厚生年金保険料が引き上げられ、手取りが減る可能性があるのです。
では、次章では厚生年金保険料が決まる仕組みを見ていきましょう。