3. 【老後】現役引退後の貯蓄額「取り崩しシミュレーション」

今回は、2パターンの金額を例にとって、現役引退後に年金生活をする際の、使える金額や取り崩し期間のシミュレーションを行っていきます。

シミュレーションの前提としては、単身世帯の方が65歳で現役を引退し、同時に年金受給を開始した場合を想定して考えていきます。

3.1 ケース1:「貯蓄2000万円」の場合、毎月いくら使える?

1つめのケースとして、貯蓄額が2000万円・年金受給額が月額17万円の場合に、「毎月いくら使えるのか」を考えていきます。

2024年時点の、厚生労働省の統計データによると、65歳の平均余命は男性が約20年、女性が約24年です。今回はその中間をとり、22年間(264ヶ月)で計算をしていきます。

主な年齢の平均余命

主な年齢の平均余命

出所:厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」

まず、この期間で使える総額を算出します。

  • 年金収入の総額:17万円× 264ヶ月 = 4488万円
  • 貯蓄額:2000万円

使えるお金の合計は、4488万円と2000万円の合計額である「6488万円」となります。

この6488万円を264ヶ月で割ると、1ヶ月あたり「約25万円」になります。

さらに、この金額からは健康保険料や所得税、住民税などが控除されることを考慮する必要があります。それらの金額を差し引くと、実際に生活費として使用できる金額はおよそ20万円程度になると想定されます。

3.2 ケース2:「貯蓄1000万円」の場合、何年ぐらい生活できる?

2つめのケースでは、貯蓄額1000万円、年金受給額が月13万円の場合、平均的な暮らしをすると貯蓄が何年で尽きるのかを計算します。

まずは、支出と収入のバランスを確認していきます。 支出額としては、総務省の家計調査報告による、65歳以上・単身世帯の平均的支出データである「月額約16万円」を使用します(健康保険料・税金を含む)。

65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2024年)

出所:厚生労働省「家計調査報告 家計収支編」

  • 支出:約16万円
  • 収入:13万円(年金)
  • 収支:13万円 - 16万円 = 毎月3万円の赤字

この赤字分を貯蓄から補填していくため、取り崩し期間は以下のように算出できます。

  • 1000万円 ÷ 3万円/月 = 約333ヶ月

333ヶ月を年数に換算すると「約28年」となります。

つまり、65歳からこの生活を続けた場合、1000万円の取り崩し期間は28年後の93歳頃までとなります。