将来のため、自分自身で資産を築くのが当たり前になった時代。20歳代から投資を始めることは、もはや珍しいことではありません。

それがわかるデータとして、金融庁の発表したNISA口座数の現状によれば、20歳代のNISA口座開設数は312万口座を突破しており、前年比でも6.1%増えています。

このように、若者の間で資産形成への関心が急速に高まっていることがわかります。

しかし、社会人としてのキャリアをスタートさせたばかりの20歳代は、まとまった資金を投資に回すことが難しいと感じている方も多いでしょう。

そこで本記事では、「少額から始めて、収入に合わせて徐々に投資額を増やしていく」という、積立投資のシミュレーションを行います。無理のないスタートで、将来どれほどの資産を築けるのか、具体的な数字で見ていきましょう。

資産形成への第一歩を踏み出したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1. 積立投資シミュレーション

今回は、年齢ごとに投資額を増額していった場合の、最終的な資産総額をシミュレーションしていきます。

例としては、歳を重ねるごとに徐々に給与額が上昇し、投資に回せる金額が増えていく場合などのケースを想定することができます。

1.1 シミュレーションの前提

各年齢の積立金額は、以下の通りとします。積立投資の総額は1398万円となり、新NISA制度のつみたて投資枠における生涯投資枠1800万円の範囲内であるため、全額を非課税で運用できます。

  • 1.22歳〜25歳(3年間):月5000円
  • 2.25歳〜30歳(5年間):月1万円
  • 3.30歳〜50歳(20年間):月3万円
  • 4.50歳〜60歳(10年間):月5万円
  • 合計元本:約1398万円(新NISAの生涯投資枠内)
  • 運用利回り:年3%で計算

1.2 シミュレーション方法

今回のシミュレーションは、以下の方法によって行います。

1.投資額が変わるごとの「グループ」を作る

  • 22〜25歳、25〜30歳、30〜50歳、50〜60歳の積立を、それぞれ別々のグループとして考えます。

2.各グループが60歳時点でいくらになるか計算する

  • 例えば「22〜25歳のグループ」は、積立が終わった後もそのまま運用を続けることになるため、60歳時点での総資産額がいくらになるかを計算します。これを他の全てのグループで行います。

3.最後にすべてを合計する

  • 4つのグループによる60歳時点での資産価値をすべて足し合わせることで、最終的な資産総額を算出します。

1.3 シミュレーション結果

1.【22歳開始分】

  • 3年間の積立(月額5000円)+35年間の保有

月額5000円 3年間積立の結果2/6

月額5000円 3年間積立の結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 3年間の積立後:元本18万円・利益1万円・運用資産19万円
  • 35年間の保有後(60歳到達時):19万円 × (1 + 0.03)^35=約53万円

2.【25歳開始分】

  • 5年間の積立(月額1万円)+30年間の保有

将来の運用資産額(月額1万円・5年間積立)3/6

将来の運用資産額(月額1万円・5年間積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 5年間の積立後:元本60万円・利益5万円・運用資産65万円
  • 30年間の保有後(60歳到達時):65万円 × (1 + 0.03)^30=約158万円

3.【30歳開始分】

  • 20年間の積立(月額3万円)+10年間の保有

将来の運用資産額(月額3万円・20年間積立)4/6

将来の運用資産額(月額3万円・20年間積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 20年間の積立後:元本720万円・利益261万円・運用資産981万円
  • 10年間の保有後(60歳到達時):981万円 × (1 + 0.03)^10=約1318万円

4.【50歳開始分】

  • 10年間の積立(月額5万円)

将来の運用資産額(月額5万円・10年間積立)5/6

将来の運用資産額(月額5万円・10年間積立)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 10年間の積立後(60歳到達時):元本600万円・利益97万円・運用資産697万円

5.【60歳到達時の総資産額】
60歳到達時の総資産額は、各期間の運用結果(53万円+158万円+1318万円+697万円)を合算した2226万円となります。

投資元本1398万円に対して828万円もの利益が生まれた計算となります。これらすべてが新NISA制度の非課税投資枠内での運用であるため、この828万円の投資収益に対して所得税・住民税は一切課税されません。

2. 年齢により積立金額を変えるメリット

年齢に応じて積立額を変える投資方法は、資産形成戦略の1つです。この方法を用いることは、次のようなメリットがあります。

2.1 無理なく始められ、長く続けやすい

若い頃は収入が少なく、多額の投資は難しいものです。しかし、今回のシミュレーションのような金額設定なら、まずは少額からスタートし、昇給やキャリアアップで収入が増えるのに合わせて積立額を増やしていくことができます。

積立をそこまで苦しく感じずに、投資を早くから始めることができるのです。

2.2 「時間の力」を最大限に活用できる

20歳代の若い頃から投資を始めることで、「複利」の力を最大限利用することができます。

今回のシミュレーションでは、 22歳から始めた3年間の積立は、積立期間中の利益こそ約1万円ですが、その後35年間運用を続けることで、利率が一定を保った場合であれば、最終的に30万円以上の利益を生み出しました。

たとえ少額でも、1日でも早く始めることで「時間を味方につける」ことができ、複利の力を最大限に引き出せるのです。

3. 積立金額を変える投資方法の注意点

前述したように、ライフステージに合わせて積立額を見直すことは投資方法として有効ですが、一方で注意すべき点もあります。

大きなポイントの1つとしては、積立投資の強みである「ドルコスト平均法」の効果が薄れる可能性があることが挙げられます。

ドルコスト平均法とは、毎月定額の投資をすることで、価格が安い時には多く、高い時には少なく買うことが可能となり、平均購入単価を抑える手法です。

しかし、積立額を増やすタイミングと相場が高くなった時期と重なってしまうと、意図せず「高値掴み」をしてしまうリスクがあります。

この場合、その後に価格が下落すると、定額で続けていた場合よりも大きな損失を被ることになります。

このリスクを抑えるためには、あまり頻繁に短期的な購入価格の変更をするのではなく、あらかじめ決めた計画や、昇給などのライフイベントを基準に、長期的な視点で見直すことが有効です。

4. おわりに

今回は22歳から60歳までの約40年間にわたる積立投資のシミュレーションを通じて、投資金額を段階的に増額していく方法が将来的な資産形成にもたらす効果を検証しました。

若い頃からコツコツと積み立てを始めることで、たとえ少額でも「複利の力」を最大限に活かし、大きな資産を育てられる可能性があることがわかります。

もちろん、投資にリスクはつきものです。今回のシミュレーションのように常に一定の成果が出るとは限らず、市場の状況によっては元本割れの可能性もゼロではありません。

そのため、自分の収入状況、リスク許容度などを正しく把握した上で、無理のない長期的な投資計画を立てることが重要です。

参考資料