3. 【在職老齢年金、遺族年金の見直しなど】「年金制度改正」のポイント
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
3.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》
社会保険の加入対象の拡大
- 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
- 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消
- 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
- iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
- 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
- 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持っていることが分かります。
4. 公的年金だけで本当に大丈夫?
本記事では、厚生年金で月15万円以上を受け取っている人の割合についてご紹介しました。年金額は、現役時代の働き方や加入期間によって大きく変わります。
長くフルタイムで働き、収入が高かった人ほど受給額は多くなる一方、パート勤務や加入期間が短い場合は平均を下回ることもあります。
老後の生活を安心して送るためには、まず自分の年金見込み額を確認し、必要なら企業年金や個人年金などで補う準備をしておくことが大切です。
将来に備える第一歩は、早めの行動です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
長井 祐人
