12月も後半に入り、 本格的な冬の寒さが身に染みる季節となりました。

年末年始の出費がかさむこの時期、物価の上昇や社会保険料の負担増を肌で感じ、日々の暮らしに不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

現在の生活を維持するだけでなく、将来に向けた資産形成もまた、現代における大きな課題です。

2025年度の公的年金は、前年度から1.9%引き上げられました。

しかし、実情は物価の上昇率に追いついておらず、年金受給世帯の家計は依然として厳しい状況にあります。

厚生労働省の調査(2023年 国民生活基礎調査)によれば、高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」と回答しており、半数以上が余裕のない暮らしを余儀なくされています。

【写真全5枚中1枚目】各種世帯の生活意識・2枚目/家計最終消費支出1/5

各種世帯の生活意識

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

この記事では「厚生年金+国民年金」が月額10万円に満たない人は、どれくらいいるのか詳しく解説します。

あわせて、公的年金の平均的な支給月額もご紹介しますので、ご自身のライフプランや備えを考える際の参考にしてください。

1. 家計最終消費支出が前期比「+0.1%」の増加に

家計最終消費支出とは、家計が購入する財やサービスにかかる支出の総額で、GDP(国内総生産)を構成する主要な項目です。

内閣府「2025年4~6月期四半期別GDP速報(1次速報値)」によると、家計最終消費支出は、物価変動を除いた実質で前期比+0.1%、名目でも前期比+0.1%の伸びとなりました。

前期にあたる2025年1~3月期の家計最終消費支出は、実質で+0.2%、名目で+1.9%という結果でした。

これは、「物価が上昇する中で支出額自体は増えたものの、物価上昇率のほうが高かったため、実際に購入できる量はあまり増えなかった」という状況を意味します。

たとえば、給与や年金がわずかに増えても「スーパーに行くとさまざまな商品が値上がりしており、買える量は結局変わらない」「生活が楽になった実感がない」といった感覚がまさにこの状態です。

一方で、2025年4~6月期の結果は「物価が落ち着く一方で、消費の伸びも非常に小幅だった」ことを示しており、経済環境が変化している様子がうかがえます。

もっとも、今後も食料品などの再値上げが見込まれており、収入が固定されている年金世帯の家計には引き続き大きな重荷となる可能性があります。

その結果、「生活防衛」の意識は当面続き、日用品を中心とした節約志向も継続すると考えられます。

経済全体としては成長が見られるものの、年金世帯にとっては今後の値上げに備えて、家計管理をしっかりと行い、生活を守ることが重要だと言えるでしょう。

2. 「現役時に加入していた年金保険」によって《老後に受け取る年金額》が変わる

老後に受け取る年金額は、「現役時代にどの制度へ加入していたか」「加入していた期間の長さ」「どの程度の収入があったか」などによって大きく差が生じます。

公的年金は、1階部分の国民年金と、そこに上乗せされる2階部分の厚生年金から構成される「2階建て構造」になっています。

2.1 「国民年金(1階部分)」の加入対象・保険料・将来の年金額をチェック

  • 対象者:日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入対象となります。  
  • 保険料:一律(年度ごとに改定)で、2024年度は月額1万6980円となります。  
  • 将来の年金額:40年間未納なしで国民年金保険料を納付した場合、満額が支給されます。

2.2 「厚生年金(2階部分)」の加入対象・保険料・将来の年金額をチェック

  • 対象者:主に会社員や公務員などが、国民年金に加えて加入する年金制度です。  
  • 保険料:厚生年金に加入している期間中の年収に応じて決定され、上限があります。  
  • 将来の年金額:厚生年金保険への加入期間と納付した保険料に基づいて計算され、国民年金に上乗せして支給されます。

現在の制度では、会社員や公務員など厚生年金に加入している人に扶養されている「専業主婦・専業主夫」は、自分で国民年金保険料を支払う必要がありません。

これは、配偶者の加入する厚生年金制度によって、その保険料分がカバーされる仕組みになっているためです。

では、実際に国民年金や厚生年金の平均月額はどれくらいなのでしょうか。

2.3 令和シニアが受け取っている「国民年金・厚生年金」の平均月額はいくら?

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、「国民年金のみ受給」と「厚生年金+国民年金」を受給する人の平均月額は次のとおりです。

【国民年金の平均月額】

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

【厚生年金+国民年金の平均月額】

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

国民年金の受給額は、40年間保険料を途切れず納めた場合に満額となり、2025年度の満額は月6万9308円です。

一方、厚生年金と国民年金を合わせた平均受給額は14万円台で推移しています。

国民年金のみの平均額と比較すると、厚生年金を含む場合には「男女間で約6万円の差」が見られる点も特徴的です。

次章では、年金の受給額が「月10万円」という人がどれほど存在するのか見ていきましょう。

3. 国民年金のみで「月額10万円」を受給するのは難しい…。

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の受給額ごとの受給者数は次のように分布しています。

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

国民年金のみを受給している人の中には、月7万円以上となっているケースもみられますが、国民年金は、毎年度決められた定額の保険料を納付した期間に応じて受給額が算定される制度です。

そのため、国民年金だけで月7万円を大きく超える金額を受け取るのは、制度上難しいといえるでしょう。

4. 厚生年金+国民年金を受給する約5人に1人は「月額10万円未満」って本当?

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金(国民年金分を含む)の受給額別の受給者数は以下のように分布しています。

厚生年金+国民年金の平均額(全年齢)5/5

厚生年金+国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金部分を含む

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

厚生年金+国民年金の月額をみると、「10万円未満」の層が全体の約22.7%を占め、約5人に1人は10万円に満たない状況です。

一方、平均月額14万6429円を上回る「15万円以上」を受給している人は47.6%と、ほぼ半数に達しています。

とはいえ、昨今の物価上昇を踏まえると、年金収入だけで老後の生活費を十分にまかなうのは簡単ではないといえるでしょう。

5. 家計に合った方法で「老後に向けた準備」を進めていこう

現役時代の働き方によって、年金受給額が異なります。

本記事では年金受給額別の割合について確認していきましたが、個人差がありますので、ご自身の年金情報について「ねんきん定期便」「ねんきんネット」などでしっかりと確認しておきましょう。

ゆとりを持った生活を送るためには、年金以外の資金を蓄えておくことも大切です。

最近では新NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用した資産運用で、将来に向けた資金を準備している方が増えています。

ただし、資産運用は価格変動リスクなどが伴います。家計の生活費を用いるのではなく、余剰資金で検討するようにしましょう。

自分に合った方法で、できるだけ早いタイミングで老後資金の準備を進めていきたいですね。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

参考資料