米国ニューヨークにあるロックフェラー大学は、医学系の大学院大学として知られ、かつての石油王・ロックフェラー氏が1901年に設立した「ロックフェラー医学研究センター」を前身としています。こぢんまりとした大学でフルタイムの学生は200人ほど、しかも全員博士またはポスドク課程といいますから驚きです。
ちなみに、日本の野口英世は1904年よりロックフェラー医学研究所で研究に従事していたことがあるのです。
米国の大学と言えば、ハーバード大学やイェール大学といった東部アイビーリーグの大学が有名で、それぞれの大学財団(エンダウメント)は、3~4兆円の運用資産を運用する機関投資家としての顔も併せ持っています。
実は、このロックフェラー大学は知る人ぞ知る、全米ナンバーワンのエンダウメントです。同エンダウメントの資産規模は2400億円程度と決して大きくはありませんが、学生1人当たりの資産規模では全米ナンバーワン、他大学とは比較にならないほどの大きさになっているのです。
図表1でも明らかですが、学生1人当たりの純資産総額では12億円程度と、ニューヨークのロックフェラー大学が断トツの一番になっています。ロックフェラー大学エンダウメントの運用資産規模は2400億円程度で、アイビーリーグの10分の1くらいの規模でしかありません。しかしながら、学生数が極端に少ないため、その分学生1人当たりでは全米トップになったというわけです。
興味深いことに、同大学はウェブサイトを通じて新たな運用戦略の募集も行っています。曰く、「当大学に運用戦略を提案されたい方は、こちらのサイトからコンタクトしてください。その際、いただいた資料に基づいて判断し、次回のステップをご案内いたします。回答には4~6週間頂戴しておりますが、あらかじめご了承ください」。
実際、その申し込みページをのぞいてみると、フォームには次のような選択肢が現れます。運用会社名や氏名もさることながら、上場株式か未公開株式か、投資対象地域、運用戦略(絶対リターン、現物資産など)、運用哲学などの記入欄が続いています。関連資料を送ることもでき、かなり真剣に運用戦略を募集しているのが垣間見れます。
ちなみに、同大学エンダウメントの運用資産の投資割合(2017年度)は、
債券・現金:8.0%
米国株・海外株:26.4%
実物資産:1.0%
オルタナティブ投資(流動性あり):30.3%
オルタナティブ投資(流動性なし):34.3%
となっており、伝統的資産よりもオルタナティブ投資への資産配分が大きくなっています。
ということで、我こそは!という運用腕自慢のみなさん、一度“全米一”のロックフェラー大学の門を叩いてはいかがでしょう?