2019年2月14日に行われた、株式会社ジャパンディスプレイ2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社ジャパンディスプレイ 代表取締役社長/COO 月﨑義幸 氏
株式会社ジャパンディスプレイ 常務執行役員/CFO 大島隆宣 氏
18年度第3四半期決算のポイント
大島隆宣氏:大島から第3四半期の決算の内容についてご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。お手元の資料の3ページ目をご覧いただけますでしょうか。
第3四半期の決算のポイントを3点にまとめております。(スライドの箇条書きの)上2つが第3四半期の内容になっておりまして、下が通期での内容になっております。
まず売上高でございますけれども、スマートフォン向けのFULL ACTIVEで、想像を超える需要減が生じまして、この結果、売上につきましては、2,511億円という実績で、(前四半期比)126パーセント増という数字にとどまったという状況でございます。
営業利益につきましては、7四半期ぶりに黒字化を達成いたしました。ただ、残念ながら売上構成比率の悪化、および競争激化にともなう売上総利益率の低下にともないまして、売上高2,511億円は確保できたのですが、それに見合う利益確保とはならず、前四半期と比較しますと85億円改善の、38億円にとどまったということでございます。
累計で見ますと、売上高は対前年同期で約1,000億円の減少でございます。具体的な数字は、(スライドの)下に示しておりますけれども、4,653億円となっております。
前年度実施いたしました構造改革により、固定費が大幅に圧縮しております。こういった固定費の改善が大きく寄与しておりまして、営業損失については300億円程度回復しております。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、当初の期待よりも売上が伸びなかったということもあり、残念ながら第3四半期累計で見ましても黒字化には至っておりません。
地域・分野別 四半期売上高推移
4ページ目をご覧いただけますでしょうか。売上のより詳細な情報になっております。売上につきましても、大きく4点記載しております。1点目でございますけれども、第3四半期の全体の売上高は、前四半期比で見ますと126パーセント増。前年同期で比べましても31パーセント増といった状況でございます。
この売上高の増加につきましては、欧米向けのモバイルディスプレイの出荷増が大きく寄与しております。
ただ一方で、中国やその他地域のモバイルディスプレイにつきましては、顧客のOLED採用や市場競争激化にともないまして、非常に厳しい販売状況が続いているといった状況でございます。
車載につきましては、3点目に記載しております。欧州における新排出ガステスト基準導入によりまして、欧州での新車の販売台数がかなりの前年割れとなっております。
こうした影響を受けておりまして、当社の車載ディスプレイ販売は前四半期比、および前年比でほぼ横ばいといった状況でございます。
ノンモバイル分野でございますけれども、デジタルカメラ向けの売上は、残念ながら減少しております。一方でそれ以外の領域、とくにウェアラブルあるいはノートPCといった領域に関しては堅調に推移している状況でございます。
18年度第3四半期 連結業績
次が、5ページになります。ここから具体的な数値になってまいります。まずは第3四半期の連結業績、損益計算書になります。(表の)一番左が、この第3四半期の実績、真ん中が昨年の第3四半期、一番右が前期比の損益になっております。
まず昨年同期で見ますと、売上高は約600億円の増収でございます。昨年と比べての大きな変化といたしましては、先ほどの冒頭でも申し上げましたとおり、固定費の寄与等で、売上総利益率が昨年の1.2パーセントから6.1パーセントに大幅に改善しております。
また販売費及び一般管理販売費も約30億円ほど改善しておりまして、営業利益は38億円といった状況でございます。
加えて営業外損益も17億円ほど改善しております。経常利益はマイナス7億円で、最終損益はマイナス13億円といった状況でございます。
対前期比で比べますと、売上総利益率が6.6パーセントから6.1パーセントに微減しております。ここにつきましては、全体として売上は伸びたものの、顧客製品ミックスと、競争激化にともない売上総利益率が悪化したことから、0.5ポイントほど悪化しております。
販売管理費につきましては、(対前期比で)ほぼ同等の115億円。営業外損益につきましては、約29億円の増加となっております。
18年度第3四半期(累計)連結業績
6ページ目をご覧いただけますでしょうか。(第3四半期の)累計でございます。昨年と比べますと、売上高は減少しておりますが、売上総利益率は大幅に改善といったところでございます。販売費及び一般管理費につきましても、昨年から約100億円改善しているという状況でございます。
同様に、営業外損益につきましても、約100億円の改善ということで、経常利益でいいますと約388億円の改善です。
また、特別損益の領域で見ますと、昨年の第2四半期に構造改革費用をすでに一部取り込みましたので、昨年はマイナス327億円の特別損失を計上いたしましたけれども、今回は 第1四半期に特別利益を計上しております影響で、ネットとしては約450億円ほどの改善になっている状況でございます。
最終損益でございますけれども、昨年と比べますと約900億円の改善という状況でございます。
18年度第3四半期 営業利益増減要因
7ページ目をご覧いただけますでしょうか。営業利益の推移でございます。左(のグラフ)が対前年同期で、右が前期比の分析になっております。前年同期で見ますと、売上高が大幅に増加しております。ここに対する影響が一番大きく、約90億円ほど効いております。
一方、先ほど固定費の大幅な改善と申し上げましたけれども、ここを見ていただけるとわかるとおり、製造固定費が79億円。それから一般管理販売費のSGAで28億円、合わせて110億円ほどの固定費の改善となっております。
ただし、昨年と比べますと在庫の圧縮等もありまして、在庫増減としては約40億円弱の38億円の減少・悪化というかたちになっております。
これを対前期で比較いたします。売上は大幅に増でございます。結果、162億円の利益の貢献をしております。固定費につきましては、第3四半期も第2四半期並に、若干ではありますが改善しております。ただし、ほぼ第2四半期並みといえるかと思います。
第2四半期に対して、第3四半期の在庫増減ということですが、前回の決算報告の際もご報告申し上げましたけれども、第2四半期に一部生産を積み上げておりまして、これを第2四半期で反映させた結果として、第3四半期との比較で見ますと約90億円ほどの、いわゆる在庫増減の損金がここに発生しているという状況でございます。
連結貸借対照表
連結の貸借対照表でございます。一番左から12月、9月、3月、昨年の前年同期という比較表になっております。
現預金残高は544億円。在庫でございますけれども、前期比約20億円(増加)の804億円でございます。この804億円の在庫水準でございますけれども、(表の)一番下に記載してありますように、回転日数で見ますと、約31日でございます。
自己資本比率は、15.1パーセントでございます。
連結キャッシュフロー
9ページ目をご覧いただけますでしょうか。連結キャッシュフローでございます。いつもと同様に、左(の表)が日本の会計基準に照らし合わせまして、前受け金を営業キャッシュフローに組み込んだものです。
財務諸表、短信を含めて、すべてこの左(の表)で記載しております。右は内部の管理としてのキャッシュフローでございまして、前受金を長期性負債とみなして財務キャッシュフローに組み込んでおります。
第3四半期のポイントは、対前期あるいは前々期と比べまして、フリーキャッシュフローが大幅に改善しているといったところでございます。
とくに前受金を長期負債とみなしますと、(右の表での)営業キャッシュフローは黒字に転換しているということでございます。
残念ながら投資キャッシュフローまでカバーしきれておりませんので、ネットのフリーキャッシュフローはどのケースに対しても、マイナスということでございます。しかし、おかげさまで資金のキャッシュの状況としては、改善方向に至っているということでございます。
2018年度通期業績予想の修正①
月﨑義幸氏:みなさま、本日はありがとうございます。私からは2018年度通期業績予想の修正ということで、お話させていただきたいと思います。
まずお手元の資料にございますように、下期はスマートフォン向けディスプレイの顧客需要の大幅な減少がございました。昨年度の構造改革等によりまして、固定費減は予定どおり進みましたけれども、お客様のOLED採用の拡大、海外競合他社の生産能力拡大等がございまして、競争環境の激化等にともない売上総利益率が低下しております。
成長需要である車載・ノンモバイル分野も、堅調に推移しておりますけれども、想定どおりの拡大に至らずでした。
2018年度通期業績予想の修正②
次のページになりますが、そういった背景もあり、今回2018年度の通期の業績予想の修正をこの表のようにいたします。
まず第4四半期の全社売上高は、前四半期から約3割の減少となっており、第4四半期の営業損益につきましては、100億円を超える営業損失計上の見込みでございます。
これにともないまして、第3四半期までの実績および第4四半期の見込みによりまして、売上高、営業利益予想を引き下げ、今期目指しておりました通期当期純利益の黒字化は、困難と判断せざるを得ないという状況でございます。
収益基盤の改善に向けた取り組み
この状況を鑑み、収益基盤の改善に向けた取り組みといたしまして、ここ(のスライド)にあるようなものを実施いたします。
まず経営面といたしましては、市場競争力及び財務基盤の強化に向けまして、筆頭株主でございます株式会社INCJさまとも連携しながら、複数社との提携交渉を継続中であり、早期の合意を目指してまいります。
株式会社INCJさまからは、上記の提携成立後も継続サポートいただける旨の意向を頂戴しております。
足もとのスマートフォン向けディスプレイ市場におきましては、想定を超える需要減、及び競争環境の激化を鑑みまして、さらなる構造改革を検討中でございます。
事業面といたしましては、車載分野および産業分野において、液晶ディスプレイのさらなる技術進化の推進に加えまして、株式会社JOLEDとの協業体制を強化してまいります。
製品といたしましては、センサービジネス等の新たなノンモバイル分野へのリソースシフトを加速してまいります。
最後に、茂原工場に既存ラインにおいて、蒸着OLEDの量産化を2019年度中に行うという計画を進めております。最終段階に入っておりまして、予定どおり、本年度中に量産化を開始するというところで取り組んでまいります。
以上でございます。