現代の60歳は、かつての「老後世代」というイメージは薄れ、社会の中核を担う「アクティブシニア」として活躍する存在です。健康に自信があり、仕事もまだまだ意欲的という方が多くいらっしゃいます。

一方で、退職を目前にして、ライフステージが大きく変わることに不安を抱く方も少なくありません。とくに「老後資金」の心配は、年齢を重ねるにつれて大きくなるようです。

健康であっても、そう遠くない将来にリタイアが訪れるものと捉え、老後の備えを具体的に進めていく必要があるでしょう。

10月という年度の折り返し時期は、家計や資産の現状を見直すのにちょうどよいタイミングです。そこで今回は、2025年に還暦を迎える世代の貯蓄実態をお伝えします。記事の後半では、60歳以降の資産形成をどのようにすべきかについて考えてみましょう。

1. 今年還暦の60歳、いくら貯蓄しているか

2025年3月にPGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)が実施した調査(※)によると、今年還暦を迎える1965年生まれの男女(有効サンプル数:2000名)の平均貯蓄額は2460万円となっています。

※PGF生命「2025年版 還暦人に関する調査」2025年に還暦を迎える1965年生まれの男女におこなったアンケート(有効サンプル数:2000名)

60歳を迎える還暦人の平均貯蓄額

60歳を迎える還暦人の平均貯蓄額

出所:PGF生命「2025年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」※PGF生命調べ

平均が2000万円を超えているのは、退職金を受け取った人が含まれている可能性もありますが、老後資金の必要額が2000万〜3000万円と言われる中、一定の安心材料といえるでしょう。

とはいえ、平均貯蓄額の推移を見ると、2018年の2725万円から2023年の3454万円まで増加傾向であったにもかかわらず、翌年から減少に転じ、2025年は2018年よりも低い水準となっています。

この背景には、物価上昇の影響、「貯蓄から投資へ」という意識の変化、雇用・給与体系の変化など、さまざまな要因があると考えられます。