3. まとめにかえて…《国民年金の受給額も一覧表で確認》
22歳~60歳までの38年間、平均年収600万円で働いた方が65歳から受け取る厚生年金(国民年金を含む)は月額約18万5600円という試算結果となりました。
しかし、この試算はあくまで「現行の年金制度と給付水準」に基づいています。ご存じの通り、少子高齢化が進む日本では、制度の支え手である現役世代の減少により、将来的に年金の給付水準が引き下げられる可能性は否定できません。
また、老後を迎えてから物価が上昇し、試算した年金額だけでは生活費をまかないきれなくなるリスクもあります。
将来、どれくらいの年金を受け取れるか、またその年金で老後生活を送れるかは極めて不透明です。
だからこそ、現役世代の私たちにとって重要なのは、公的年金に頼りきりにならない「自助努力」です。
年金制度の行方を案じるだけでなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった制度を活用し、計画的に私的な資産を準備していくことが、豊かで安心できる老後を築くための最大の防衛策となります。将来に備え、今から一歩を踏み出しましょう。
3.1 ご参考:国民年金の受給額
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
3.2 年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
3.3 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
3.4 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
3.5 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「iDeCoの概要」
和田 直子