3. 富裕層が「株式投資」や「不動産」を重視する理由
フランスの経済学者トマ・ピケティが著書「21世紀の資本」で示した「r>g」という法則があります。これは「資本収益率(r)は経済成長率(g)を上回る」という意味です。
つまり、株式や不動産などの資本を持つ人の資産増加スピードは、働いて得る給与の増加スピードより速いということです。
歴史的なデータによると、資本収益率は年平均4〜5%程度なのに対し、経済成長率(賃金上昇率)は1〜2%程度。つまり、労働だけで資産を築くよりも資本を保有する方が、長期的に見て効率的に資産が増えていくのです。
預金だけでは、物価上昇に資産価値が追いつくのは現実的ではありません。しかし、企業は価格転嫁で利益を守るため、株式はインフレに連動して上昇する傾向があります。短期的には株価変動があるものの、過去のデータでは株式市場は長期的に右肩上がりです。
労働収入だけでなく、株式という「資本」を持つことで、より効率的な資産形成が可能です。現在資産形成期にある方は、健全な家計運営を通じて生活防衛資金を確保したうえで、金融資本をできるだけ多く持つことを意識しましょう。
4. まとめにかえて:「お金を増やす仕組み」を整える
効率的な資産形成を実現するために押さえるべきポイントは、労働収入だけでなく株式や投資信託などの「資本」を保有することです。歴史的に資本収益率は賃金上昇率を上回るため、長期的な資産増加が期待できます。
生活防衛資金をしっかり確保したうえで、NISA制度などの税制優遇を活用しながら、無理のない範囲で金融資本を増やして行きましょう。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(2025年2月13日)
柴田 充輝