5. 【年金額1.9%増額するも実質目減り】老齢年金から《天引きされるお金》とは?
公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。
2025年1月、厚生労働省は2025年度(令和7年度)の年金額を、前年度より1.9%引き上げることを公表しました。
3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしています。
物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
またシニアの多くは、下記の税や社会保険料を老齢年金からの天引きで納めています。
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年金見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますが、年金は「額面通りにはもらえない」点は意外な盲点かもしれません。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
6. 老後生活に向けて「年金見込み額」を確認しておきましょう
ここまで、老後資金の柱となる公的年金の仕組みや、次回の年金支給日となる10月15日に「約46.5万円」が支給される「標準夫婦」について解説しました。
年金制度そのものへの不安や、「もらえる年金額には期待できない」と感じている方も少なくありません。
こうした不安を解消するには、まず「将来いくら年金を受け取れるのか」ご自身の年金見込み額を具体的に知っておくことが大切です。
年金の見込みを把握し、老後生活に足りるのかが明確になれば、備えるべき金額や資産形成の手段が見えてきます。
これを機に、ご自身の年金見込み額を確認し、老後生活に向けての計画を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
安達 さやか