朝晩の冷え込みが増し、秋の深まりを感じる2025年10月です。日々のニュースでは、依然として物価高騰の話題が尽きず、食料品やエネルギー価格の高止まりが家計を圧迫し続けています。
特に、定年退職を迎えて年金生活に入った高齢者世帯にとって、この経済環境はより厳しい現実を突きつけています。「老後は悠々自適に暮らしたい」という理想とは裏腹に、公的年金だけでは生活費が足りないという不安を抱えるシニア層が増加しています。
厚生労働省の調査によると、高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」と感じているという衝撃的なデータが示されました。
平均的な年金受給額と実際の生活費のギャップ、そして多くのシニア世帯が直面している貯蓄の現状は、私たちが想像する以上に深刻かもしれません。
本記事では、各種公的データをもとに、現代の高齢者世帯が置かれているリアルな経済状況を徹底的に分析します。
現在のシニア層が抱える生活苦の実態、70歳代の具体的な家計収支、そして老後の資金源である公的年金の平均受給額について、その全容を明らかにしていきます。
1. 5割超のシニア世帯が「生活苦しい」と感じている
まずは、現代の高齢者の生活意識について、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に見ていきましょう。
上記調査によれば、高齢者世帯の生活意識は以下のとおりです。
1.1 「高齢者世帯の生活意識」の調査結果を見る
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた割合は55.8%に達しており、高齢者の中では「普通」と答えた層よりも、「苦しい」と感じている人の方が多い状況となっています。