これから暑くなるにつれて「冷房費用などの負担」が気になる方も多いのではないでしょうか。
資源エネルギー庁「電気・都市ガスをご利用するみなさまへ」によると、2026年7月~9月使用分において「電気・ガス料金への支援」が実施されることになりました。
しかし、電気・ガス料金以外でも、日々の生活の中で物価高が続いており家計に負担が生じていることが考えられます。
総務省が2025年5月22日に発表した、2026年4月の消費者物価指数(総合指数)は、前年同月比で1.4%の上昇となっています。
この記事では、65歳以上のおひとりさま世帯の「平均的なひと月あたりの家計収支」を見ていきます。
毎月どれくらいの赤字が出ているのでしょうか。
記事の後半では、2026年度に増額改定された年金額や、多様なライフコースに応じた年金額例も解説しますので、老後生活に向けた計画を立てる際の参考にご覧ください。
1. 【65歳以上のおひとりさま世帯】ひと月あたりの「平均家計収支」はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。
1.1 65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支
毎月の実収入:13万1456円
■うち社会保障給付(主に年金):12万212円
毎月の支出:16万1435円
■うち消費支出:14万8445円
- 食料:4万2545円
- 住居:1万1416円
- 光熱・水道:1万5565円
- 家具・家事用品:6069円
- 被服及び履物:3049円
- 保健医療:8388円
- 交通・通信:1万3601円
- 教養娯楽:1万6132円
- その他の消費支出:3万1681円
- うち諸雑費:1万4052円
- うち交際費:1万6956円
- うち仕送り金:591円
■うち非消費支出:1万2990円
- 直接税:7072円
- 社会保険料:5912円
65歳以上《単身》無職世帯の家計は…
- ひと月の赤字:2万9980円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.6%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):125.3%
老齢年金を受給して一人暮らしをするシニア世帯の家計は、どのような状況なのでしょうか。
この単身世帯のひと月の支出合計は16万1435円です。
その内訳は、税金や社会保険料などの「非消費支出」が1万2990円、食費や住居費などの「消費支出」が14万8445円を占めます。
一方、ひと月の収入は13万1456円で、その約9割(12万212円)は主に公的年金です。
エンゲル係数は28.6%、平均消費性向は125.3%。結果的に、この単身世帯は毎月2万9980円の赤字を抱えています。
ただし、この家計収支データには注意すべき点があります。
まず、支出に「介護費用」が含まれておらず、住居費も1万円台と低めです。
健康状態や住居環境によっては、これらの費用がさらに上乗せされることも考慮する必要があるでしょう。
また、「非消費支出」が示す通り、老後の年金暮らしが始まっても、税金や社会保険料の支払いは生涯続きます。
多くのシニアがこれらの費用を年金から天引きで納めている現実も踏まえ、年金収入と日常生活費だけではなく、こうした、固定費も考慮した生活設計が大切となるでしょう。
2. 【2026年度】前年度比、国民年金(基礎年金)+1.9%・厚生年金(報酬比例部分)+2.0%
現役時代の年金加入状況によって、老後の受給額は一人ひとり異なります。
加えて、年金額は物価や現役世代の賃金動向を踏まえ、毎年改定がおこなわれます。
2026年度の年金額は前年度より国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられており、日本年金機構は以下の年金額について公表しています。
2.1 【2026年度】国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万9408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
国民年金の年金保険料は全員一律ですが、厚生年金は会社員や公務員などが加入し、収入に応じた保険料を納めるため個人差が表れやすくなります。
3. 【2026年度に65歳になる人】多様なライフコースに応じた年金額例
働き方や生き方が多様化する今、「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と気になっている人もいるでしょう。
厚生労働省は、今回の年金改定の発表と同時に、多様なライフコースに応じた年金額例も示しています。
ここでは、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2026年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算が提示されています。
3.1 パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
3.2 パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
3.3 パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
3.4 パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
3.5 パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
上記のデータからは、厚生年金に長く加入し、かつ収入が高かった人ほど、老後の年金額は多くなる傾向があることが分かります。
現役時代に「国民年金の期間が中心だったか」「厚生年金の期間が中心だったか」により、老後の年金水準が大きく変わるわけですね。
働き盛りの現役世代にとって、いまの働き方や収入は、目前の家計だけではなく、遠い将来の年金額を左右する重要な要素となるのです。
4. まとめにかえて
今回は厚生労働省の資料をもとに、65歳以上のおひとりさまの平均的な生活費について解説しました。
2026年7月~9月使用分の「電気・ガス料金への支援」が実施されることになっていますが、日々の生活費において物価高が長らく続いています。
老後を迎えると、現役時代と比べ収入が減少するケースや、さまざまな事情で働くことができない状況になることも考えられます。
そのため、日々の暮らしだけでなく「万が一の備え」まで想定した、老後資金の準備をしておくことが安心につながるでしょう。
老後の生活費に目を向けたうえで、将来必要な金額がいくらくらいなのか「年金だけで足りるのか」確認することからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「2020年基準 消 費 者 物価指数 全国2026年(令和8年)4月分」
- 資源エネルギー庁「電気・都市ガスをご利用するみなさまへ」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
菅原 美優

