1.4 「年金の手取り額が増える理由2」在職定時改定制度の影響
手取り額(天引き額)の変動だけでなく、年金の「額面そのもの」が10月からアップするケースもあります。
その代表的な例が、2022年4月に導入された「在職定時改定」という制度です。
「働きながら受給」している方への恩恵
これまで、働きながら厚生年金を受け取る「在職老齢年金」の受給者の場合、退職するか70歳になるまで年金額が再計算されない仕組みでした。
しかし、現在の「在職定時改定」制度では、65歳以降も会社員等として働き続け、厚生年金保険料を納めている方を対象に、毎年1回、納めた保険料の実績を年金額に反映させるようになりました。
なぜ「10月」に年金が増えるのか?
この再計算の基準日は毎年9月1日と定められており、前年9月から当年8月までに納めた保険料分が、翌月の10月分(12月支給分)から年金額に加算されます。
つまり、働き続けているシニアの方にとっては、「10月は年金額が再評価される節目の月」となっているのです。
「働いているのに年金額が変わらない」と感じていた方も、この制度によって、毎年の労働実績が着実に年金額のアップへとつながるようになっています。
ただし、年金の額面が増える際には、それに伴う「税金や保険料への波及効果」にも注意が必要です。
年金額がアップすれば、当然ながら課税対象となる所得も増えるため、差し引かれる所得税も上昇します。
加えて、増えた所得額は翌年度の住民税や国民健康保険料、介護保険料などの算定基準にもなるため、翌年以降の負担が重くなる可能性があるのです。
「額面が増えたのに、思ったほど手取りが増えない」あるいは「翌年の保険料が上がってしまった」といった事態を避けるためにも、年金の増加がもたらす長期的な家計への影響を精緻に見極めておくことが大切です。
では、今のシニア世代はどれくらい年金を受給できているのでしょうか。
最新の年金データをもとに、60歳代~90歳以上の「平均年金月額」を解説します。
