2025年11月、日本の街は紅葉が深まり、冬の足音も聞こえ始める季節となりました。年末を控え、家計の見直しや来年の計画を立て始める人も多いのではないでしょうか。

そのような中で、私たちの老後の生活を支える公的年金制度に対する関心は、常に高い水準を保っています。特に、物価高や賃上げの動向が報じられるたびに、将来受け取る年金額がどうなるのか、不安を感じる方もいることでしょう。

本稿で解説する年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっており、その仕組みやご自身の受給見込み額を正確に把握しておくことは、計画的なセカンドライフを送る上で不可欠です。

年金の平均受給額は年齢や加入状況によって異なりますが、本記事では60歳から89歳までの具体的な平均月額を厚生労働省の最新データに基づき、年代別に詳しくご紹介します。

1. 日本の公的年金制度

日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。

この2つの年金制度の基本を押さえておきましょう。

1.1 1階部分:国民年金

加入対象

  • 原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人

年金保険料

  • 全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)

老後の受給額

  • 保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれるしくみ。

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金

加入対象者

  • 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入

年金保険料

  • 収入に応じて(上限あり)決定される(※4)

老後の受給額

  • 加入期間や納付済保険料により、個人差が出る

国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。そのため、老後に受け取る年金額は一人ひとり変わってくるのです。

また、公的年金額は物価や現役世代の賃金を考慮して、年度ごとに見直しがおこなわれます。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。