2025年度の都道府県別の最低賃金が決定しました。
2025年度の最低賃金は、全国平均で昨年より66円アップし1121円です。物価上昇が続く中で大幅な引き上げとなりましたが、「自分の居住地の最低賃金はいくら?」「いつから適用されるの?」などと気になる人もいるでしょう。
本記事では、都道府県別の最低賃金について解説します。
適用開始時期や最低賃金の決定方法も紹介しますので、賃金に関する基本知識として覚えておきましょう。
1. 最低賃金とは
最低賃金とは最低賃金法に基づき国が決定する賃金の最低額のことで、1時間当たりの賃金額で表示します。
使用者は労働者に対して、最低賃金額以上の賃金を支払うことが義務付けられています。
近年、物価上昇が続き低所得者の生活が厳しくなる中で、最低賃金を大幅に引き上げて国民生活を支えようとする傾向にあります。
2. 最低賃金の決定方法
最低賃金は、都道府県単位で決定します。
ただし、各都道府県の最低賃金に著しい不均衡が生じないように、厚生労働省の「中央最低賃金審議会」が最低賃金の目安を答申し、「地方最低賃金審議会」が目安を参考に地域の実情に応じた最低賃金額を審議し、最終的には「都道府県労働局長」が決定します。
なお、都道府県別の最低賃金のほか、特定地域内の特定の産業については「特定最低賃金(産業別最低賃金)」があります。
特定最低賃金は、同一地域の都道府県別最低賃金より高く設定されています。
3. 中央最低賃金審議会答申では過去最高の引き上げ
2025年8月4日に開催された中央最低賃金審議会審査会では、2025年の最低賃金について地域ランクごとに63円から64円の引き上げを目安としました。
全国加重平均の最低賃金は「1118円」、引き上げ額は「63円」となり、どちらも昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となりました。
ここまで、最低賃金の意味や決定方法、中央最低賃金審議会の答申した「引き上げの目安」について解説しました。次章では最終決定した都道府県別の最低賃金と適用開始時期について解説します。
4. 【2025年度の最低賃金】最終的には答申の目安を上回る引き上げ
地方最低賃金審議会が審議し、各都道府県労働局長が最終決定した最低賃金は次の通りです。
- 全国加重平均の最低賃金:1121円
- 最低賃金の平均引き上げ額:66円
東北地方や九州地方などでは目安を大幅に上回る引き上げが行われ、秋田県や熊本県、大分県では80円を超える引き上げが決定しました。
5. 都道府県別の最低賃金と適用時期
都道府県別の最低賃金と適用時期は次の通りです。
5.1 2025年度 地域別最低賃金の一覧
- 北海道:1075円(引上げ額65円)
- 青森:1029円(引上げ額76円)
- 岩手:1031円(引上げ額79円)
- 宮城:1038円(引上げ額65円)
- 秋田:1031円(引上げ額80円)
- 山形:1032円(引上げ額77円)
- 福島:1033円(引上げ額78円)
- 茨城:1074円(引上げ額69円)
- 栃木:1068円(引上げ額64円)
- 群馬:1063円(引上げ額78円)
- 埼玉:1141円(引上げ額63円)
- 千葉:1140円(引上げ額64円)
- 東京:1226円(引上げ額63円)
- 神奈川:1225円(引上げ額63円)
- 新潟:1050円(引上げ額65円)
- 富山:1062円(引上げ額64円)
- 石川:1054円(引上げ額70円)
- 福井:1053円(引上げ額69円)
- 山梨:1052円(引上げ額64円)
- 長野:1061円(引上げ額63円)
- 岐阜:1065円(引上げ額64円)
- 静岡:1097円(引上げ額63円)
- 愛知:1140円(引上げ額63円)
- 三重:1087円(引上げ額64円)
- 滋賀:1080円(引上げ額63円)
- 京都:1122円(引上げ額64円)
- 大阪:1177円(引上げ額63円)
- 兵庫:1116円(引上げ額64円)
- 奈良:1051円(引上げ額65円)
- 和歌山:1045円(引上げ額65円)
- 鳥取:1030円(引上げ額73円)
- 島根:1033円(引上げ額71円)
- 岡山:1047円(引上げ額65円)
- 広島:1085円(引上げ額65円)
- 山口:1043円(引上げ額64円)
- 徳島:1046円(引上げ額66円)
- 香川:1036円(引上げ額66円)
- 愛媛:1033円(引上げ額77円)
- 高知:1023円(引上げ額71円)
- 福岡:1057円(引上げ額65円)
- 佐賀:1030円(引上げ額74円)
- 長崎:1031円(引上げ額78円)
- 熊本:1034円(引上げ額82円)
- 大分:1035円(引上げ額81円)
- 宮崎:1023円(引上げ額71円)
- 鹿児島:1026円(引上げ額73円)
- 沖縄:1023円(引上げ額71円)
これまで最低賃金1000円以下の都道府県が過半数を占めていましたが、今回改定によって全都道府県の最低賃金は1000円を上回るようになりました。
また、2025年度の最低賃金が適用開始する時期は、都道府県によって大きく異なります。
5.2 2025年度 地域別最低賃金の発効日(予定)一覧
- 北海道:2025年10月4日
- 青森:2025年11月21日
- 岩手:2025年12月1日
- 宮城:2025年10月4日
- 秋田:2026年3月31日
- 山形:2025年12月23日
- 福島:2026年1月1日
- 茨城:2025年10月12日
- 栃木:2025年10月1日
- 群馬:2026年3月1日
- 埼玉:2025年11月1日
- 千葉:2025年10月3日
- 東京:2025年10月3日
- 神奈川:2025年10月4日
- 新潟:2025年10月2日
- 富山:2025年10月12日
- 石川:2025年10月8日
- 福井:2025年10月8日
- 山梨:2025年12月1日
- 長野:2025年10月3日
- 岐阜:2025年10月18日
- 静岡:2025年11月1日
- 愛知:2025年10月18日
- 三重:2025年11月21日
- 滋賀:2025年10月5日
- 京都:2025年11月21日
- 大阪:2025年10月16日
- 兵庫:2025年10月4日
- 奈良:2025年11月16日
- 和歌山:2025年11月1日
- 鳥取:2025年10月4日
- 島根:2025年11月17日
- 岡山:2025年12月1日
- 広島:2025年11月1日
- 山口:2025年10月16日
- 徳島:2026年1月1日
- 香川:2025年10月18日
- 愛媛:2025年12月1日
- 高知:2025年12月1日
- 福岡:2025年11月16日
- 佐賀:2025年11月21日
- 長崎:2025年12月1日
- 熊本:2026年1月1日
- 大分:2026年1月1日
- 宮崎:2025年11月16日
- 鹿児島:2025年11月1日
- 沖縄:2025年12月1日
※この発効日(予定)は、答申公示後の異議の申出の状況等により変更となる可能性があります。
最も早い栃木県(2025年10月1日適用開始)と最も遅い秋田県(2026年3月31日適用開始)では、約6ヶ月の差があります。
6. 最低賃金改定に関する注意点
最低賃金改定に関する主な注意点を2つ紹介します。
6.1 注意点①:最低賃金以上の賃金が支払われているか確認する
最低賃金は、正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣社員などにも適用されます。
勤務地の最低賃金と適用開始時期を確認のうえ、実際に支払われた給与が最低賃金以上であるかを確認しましょう。
6.2 注意点②:最低賃金アップを機に働き方を見直す
働き方を見直すとは、扶養の範囲を超えないように勤務時間を調整することや、勤務時間を増やしたりスキルアップして収入を増やすことなどです。
扶養内で働くと決めている人は、最低賃金アップにより扶養から外れないかを確認しましょう。
扶養から外れると扶養者が配偶者控除を使えなくなったり、社会保険の自己負担が発生する可能性があります。必要に応じて勤務時間を調整しましょう。
また、最低賃金アップを機に収入を増やすことも選択肢です。
勤務時間を増やす、資格取得でスキルアップする、給与の高い会社に転職するなどして、収入を増やしたりキャリアアップを図ることも検討してみましょう。
7. まとめにかえて
2025年、最低賃金は全国加重平均で66円アップの1121円となり、過去最大の引き上げとなりました。最低賃金に近い水準で働いている人は、5%を超える大幅な給与アップが期待できます。
ただし、新たな最低賃金の適用が始まるのは都道府県によって異なるので注意しましょう。
また、現在扶養の範囲内で働いている人は、最低賃金引き上げにより収入や所得が扶養の範囲を超えないか確認が必要です。
最低賃金アップを機に、これからの働き方や将来のキャリアプランなどを再点検してみましょう。
※2025年9月28日10:17 記事の内容を一部修正しました。
参考資料
西岡 秀泰