一人暮らしの高齢者の増加で懸念される「孤独死」

冬の時期になるとテレビや新聞で、一人暮らしのお年寄りの家が火事になったというニュースがよく報道されています。こうしたニュースは年々増えているようです。それだけ一人暮らしの高齢者が増えているのでしょう。

一人暮らしの高齢者が増える中、避けて通れないのが「孤独死」です。孤独死とは、一人暮らしの人が誰にも看取られること無く死亡することを言い、基本的に自殺は含まれません。生活中の突発的な疾病(心臓発作や脳出血など)によって死亡するケースもありますが、高齢者の持病が重篤化してそのまま亡くなるパターンが「孤独死」のイメージではないでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所が昨年(2018年1月)公表した今後の世帯数予測を見ると、現在既に社会問題化しつつある孤独死が、より一層深刻になる可能性が高まっていることが見て取れます。

孤独死で亡くなる高齢者(65歳以上)は決して珍しくはない

ところで、現在の日本社会において孤独死で亡くなる高齢者はどれくらいいるのでしょうか?

やや古いデータになりますが、内閣府の調査によれば、平成27年に東京23区内で65歳以上の一人暮らし死亡者のうち、自宅での死亡者数は3,127人となり、過去最高を記録しました。平成15年が1,451人だったので、12年間で2倍超に増加したことになります。

この東京23区内の孤独死データを基にすると、全国では3万5千人~4万人の高齢者が孤独死で亡くなっていると推察されます。平成30年の全国における自殺者が約2万600人であることを考えると、孤独死の多さが理解できましょう。誰にも看取られることなく亡くなる人は、決して珍しくない時代になったのです。

ちなみに、平成27年の全死亡者数は約129万人だったので、高齢者による孤独死の割合は3%前後と推測されます。恐らく、直近の平成30年では3%を大きく超えているものと思われます。

21年後の2040年、高齢者の単身世帯数は約900万へ増加する予測

さて、前述した今後の世帯数予測によれば、65歳以上の単身世帯数は、

  • 2015年:625.3万世帯(32.6%)
  • 2020年(予測):702.5万世帯(34.0%)
  • 2030年(予測):795.9万世帯(37.4%)
  • 2040年(予測):896.3万世帯(40.0%)

と推計されています。カッコ内は総世帯に占める割合です。基本的には、「単身世帯数=一人暮らしの人数」と考えていいでしょう。今から21年後の2040年には、65歳以上の総世帯数の4割が単身世帯となるわけです。孤独死する高齢者数がさらに増加することは容易に想像できます。

民間の賃貸住宅に頼らざるを得ない高齢者は2040年に約320万人

そこで問題になるのが、孤独死を迎える自宅が持家なのか、それとも、賃貸住宅なのかということです。