10月に入り、秋の気配が深まってきましたね。そんな季節の中で、みなさんはこれから迎える老後の暮らしをどのくらいイメージできていますか?
なんとなく頭に描いていても、実際にシニア生活が始まってみないと分からないことは多いものです。特にお金の面では、食費や医療費など、思った以上にかかるケースもあり、後になって「足りない」と気づくこともあります。
この記事では、70歳代の二人以上世帯を対象に、平均貯蓄額や中央値を解説します。シニアたちの公的年金の平均的な受給額についても紹介しますので、老後資金をどう準備するか考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1. 【70歳代・二人以上世帯】シニアの貯蓄額(平均と中央値)はいくら?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は1923万円となっていますが、富裕層の存在によって数値が押し上げられており、多くの世帯の貯蓄状況とはかけ離れている可能性があります。
実態をより反映している中央値では800万円となり、多くの70歳代・二人以上世帯の貯蓄額がおおよそこの水準に集中していることがわかります。
世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
最も多いのは、全体の約2割(20.8%)を占める「金融資産なし(貯蓄0円)」の世帯です。
一方で、3000万円以上の貯蓄を保有する世帯も19.0%存在しており、貯蓄額には大きな格差が見られます。
内訳を見ると、100万円未満が5.4%、100~200万円未満が4.9%、200~300万円未満が3.4%と、少額の貯蓄しかない世帯も一定数存在します。
その一方で、1000~1500万円未満が10.2%、1500~2000万円未満が6.6%、2000~3000万円未満が8.9%と、ある程度まとまった資産を持つ世帯も少なくありません。
このように、70歳代世帯の貯蓄額は、退職金の有無や現役時代の収入水準、相続、さらには健康状態などによって大きく差が生じています。
また、公的年金の受給額も現役時代の加入状況によって変動するため、年金だけで生活するのは貯蓄が少ない世帯にとっては厳しい場合があります。
安定した老後の暮らしのためには、自身の状況に応じた生活設計の見直しが欠かせません。
たとえば、健康なうちはパート勤務などで収入を得たり、不動産収入や投資による資産運用を検討するなど、早い段階から多様な選択肢を考えて備えておくことが重要となるでしょう。