物価の上昇や将来の年金への不安から、「今のうちに資産を増やしたい」と考える人は少なくありません。
一方で、富裕層と呼ばれる人たちは、景気変動の影響を受けながらも着実に資産を増やし、その数も日本で年々増加しています。実は、富裕層が資産を築いてきた背景には、特別な収入源だけでなく「お金を守りながら増やす」ための工夫があります。
この記事では、「資産家」は日本に何%いるのか、富裕層や超富裕層が増加した「3つの背景」について解説します。
富裕層から学ぶ資産形成のコツを紹介しつつ、万一に備える「守り」の重要性についても考えていきましょう。
1. 富裕層の資産運用のコツ
銀行の元富裕層担当者より教えてもらった「富裕層の資産運用のコツ」をご紹介していきます。
1.1 富裕層から聞いた資産運用のコツ1:長期目線で資産を増やす
富裕層は、短期的な利益よりも長期的な視点で得られる利益を大切にしています。
市場は上下を繰り返しますが、長期的にみると成長していく傾向があり、複利の力も働きます。そのため、株式や投資信託などをコツコツ積み立て、10年・20年といった長期スパンで運用している人が多いのです。
日々の値動きに一喜一憂することなく、「急がず着実に資産を育てる」という姿勢が、結果として大きな資産形成につながっています。
1.2 富裕層から聞いた資産運用のコツ2:資産全体を俯瞰してリスクを分散する
富裕層は資産を増やすだけでなく、「守る」視点も常に持っています。
株式・債券・不動産・現金・外貨など異なる値動きをする資産に分散投資することで、一部が値下がりしても他でカバーできる体制をつくっています。
また、単に分散するだけでなく、資産全体を俯瞰してバランスを最適化する「ポートフォリオ管理」も徹底しています。
景気や金利の変動に合わせて配分を調整することで、リスクを抑えつつ安定的に資産を育てているのです。
1.3 富裕層から聞いた資産運用のコツ3:守りの仕組みも同時に整える
富裕層がもうひとつ重視しているのが、「万が一への備え」です。
どれだけ順調に資産運用をしていても、病気やケガ、介護といった想定外の出費が突然発生すれば、運用資産を取り崩さざるを得なくなります。
そのため、医療保険や介護保険などの保障で“守り”を固めておき、資産を減らさず投資を続けられる環境を整えています。
「増やす」と「守る」を同時に進めることで、安定感のある資産形成を実現しているのです。
1.4 なぜ「守り」が必要なのか
資産運用で増やすことも大切ですが、守りをなぜ重視しているのか気になる人もいるでしょう。
そこで、万が一への備えとして、医療費がどのくらいかかるのか確認してみましょう。特に高齢になると医療費は増え続け、長期入院や療養が必要になると負担は想像以上に大きくなります。
厚生労働省の統計でも、70代で年間60万円以上、90歳を超えると100万円超に達することが示されています。
また、現役世代であっても安心はできません。統計上、20代では年間10万円前後、30代でも15万円前後の医療費がかかっています。
金額としてはまだ少ない水準ですが、思わぬケガや病気によって急な出費が必要になることは珍しくありません。