朝晩の冷え込みが増し、秋の深まりを感じる2025年10月です。 読書の秋、スポーツの秋など人それぞれですが、「将来の備え」について考えるにも良い季節かもしれません。

老後の生活を支える公的年金制度は、日本に住む私たちにとって最も重要な社会保障の一つです。 しかし、その制度が具体的にどのような仕組みで、いくら受け取れるのかを正確に把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。

特に、日本の公的年金制度が「国民年金」と「厚生年金」から成り立つ二階建て構造であることは知っていても、それぞれの加入対象者や保険料、そして将来の受給額がどのように決まるのかといった具体的な違いを理解することは、老後資金計画の第一歩となります。

2025年度の年金額が前年度から1.9%増額改定されたニュースは、多くの方の関心を集めていることでしょう。

本記事では、この日本の公的年金制度の基本構造を改めて解説します。さらに、2025年度の年金額の具体的な例や、厚生年金と国民年金の平均受給月額を60代から80代まで年齢層別に詳しくご紹介していきます。

1. 公的年金制度を解説!

日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。

この2つの年金制度の基本を押さえておきましょう。

1.1 1階部分:国民年金

加入対象

  • 原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人

年金保険料

  • 全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)

老後の受給額

  • 保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれるしくみ。

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金

加入対象者

  • 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入

年金保険料

  • 収入に応じて(上限あり)決定される(※4)

老後の受給額

  • 加入期間や納付済保険料により、個人差が出る

国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。そのため、老後に受け取る年金額は一人ひとり変わってくるのです。

また、公的年金額は物価や現役世代の賃金を考慮して、年度ごとに見直しがおこなわれます。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。