4. 公的年金だけに頼るシニアの割合はどれくらい？

厚生労働省が公表した「2024（令和6）年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯（※）の収入の実態を見ていきましょう。

まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6％となっています。

しかし、これはあくまで全体の平均値です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。

※高齢者世帯：65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

4.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】

出所：厚生労働省「2024（令和6）年　国民生活基礎調査の概況」II　各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100％の世帯：43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80～100％未満の世帯：16.4％
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60～80％未満の世帯：15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40～60％未満の世帯：12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20～40％未満の世帯：8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20％未満の世帯：4.0%

このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。

5. まずは年金記録の確認からスタートしてみて

この記事では、厚生年金を月額15万円以上受給している人の割合を見てきました。15万円と聞くと「ちょっと余裕がある暮らし」をイメージしますが、実際にこの金額を受け取っている人はそう多くありません。

年金額は、働き方や勤続年数、企業規模などによって大きく変わるため、平均だけでは自分の立ち位置がわかりにくいものです。

「自分はどれくらいなんだろう…」と感じた方は、ぜひこの機会に年金記録を確認してみてください。早めに把握しておけば、必要な準備や対策を考える余裕が生まれます。将来の安心は、ちょっとした一歩から始まります。

参考資料

川勝 隆登