アナリストが気づいた3つのポイント
住宅地に隣接しており地域密着感が高い立地。店舗内装はきれいで店内が明るく、全体としては親しみやすい印象です。
客層はミドルとシニアがメイン。ヤングファミリー層はあまり見かけませんでした。
最寄駅にはルミネと丸井があり、同店に隣接してドラッグストア・100円ショップ・紳士服チェーンが並んでいます。食料品で地域を深堀りし、非食品はローコストに徹するという今の業態は理にかなっているようです。
イトーヨーカドー1号店を訪ねてみる
最近、イトーヨーカドーが不採算店舗を閉鎖すると報じられました。そこで温故知新と考え、第1号店(現「ザ・プライス千住店」)を訪ねてみました。
創業は、正確には1920年台東区浅草で開業した「羊華堂洋品店」ですが、1945年に北千住に移転しました。店舗の入り口には同店の歴史を語るパネルが掲示されています。
北千住駅から店舗へ向かう
北千住は交通の要衝です。東武鉄道が明治32年に営業を開始したのは北千住-久喜間でした。現在は東武に加え、JR常磐線、地下鉄千代田線、地下鉄日比谷線、つくばエクスプレスが接続しています。
駅の西口にはロータリーがあり、駅はルミネに接続、そのすぐ隣が丸井です。ここにはユニクロ、無印良品、エービーシー・マートなど主要な専門店が出店しています。
では本題のザ・プライス千住店の場所を確認しておきましょう。次の写真の中央奥になります。
買い物をしてみる
駅から3分くらいで店舗に到着です。さて、中に入ってみましょう。
店舗は地下1フロア、地上が4フロアになります。地下は生鮮を中心にした食料品、1階は主に加工食品、2階と3階は衣料品で、4階は主に日用品の売り場です。
午後3時ごろに来店しましたが、地下1階と地上階はお客さんで賑わっています。シニア層の男女と子育て世代のお母さんが目立つ感じでしょうか。2階から4階までは品揃えが豊富で、全フロアを回ればとりあえず日常生活が成立するように思います。しかしお客さんはシニアが多く、ややまばらな印象です。優等生的な売り場ですが、インパクトは少し控えめでした。
まったく個人的な話ですが、最近石鹸系の洗濯洗剤や食器用洗剤、シャンプーなどを使っているため、こうした商品を一通り購入し、周辺の散策に出ました。
周辺を散歩してみる
ご覧の通りすぐ隣にサンドラッグが、道を挟んで正面には洋服の青山と100円ショップのダイソーが取り囲んでいます。青山はワゴンと入口すぐにカジュアル衣料が並び、ダイソーは青山店内の2階に上がる構造です。
もう少し周辺を歩くと、昔ながらの商店街、古くからの戸建ての住宅街、そして新しいマンションが並びます。近くに大きな駐車場がないため、基本的には車ではなく徒歩や自転車の商圏なのでしょう。ちなみに同店から約500メートル離れたところに旧ダイエー系のトポスがあります。
ザ・プライス千住店の将来像を考えてみる
この店は、2009年以降イトーヨーカドーのディスカウントストア業態であるザ・プライス千住店として運営されています。地下1階と地上階の食料品は通常のイトーヨーカドーの店舗と変わらないと思いますが、商品陳列は簡素化されています。また2階から4階まではレジ数やレジ要員を徹底的に少なくしています。
近隣商圏では少子高齢化が進んでいると思われますし、駅からの距離、利便性、近隣店舗の状況を総合的に勘案すると、現在の運営形態が理にかなっているように思います。むしろ、シニア・ミドル向けに、さらに品揃えを拡充してもいいのではないでしょうか。上層階をシニア向けフィットネスや健康コーナーに変えるという手もあるかもしれません。
中期的に考えると、行政も含めて街づくりを強化すべきです。大手町まで20分かからない北千住の地の利を生かして再開発を進め、商圏人口の若返りを図る必要があります。東京電機大学、東京藝術大学、帝京科学大学を誘致していますが、これからは住民数を増やす一層の取り組みが必要でしょう。今後の街の変化にも大いに注目したいと思い、帰途につきました。
椎名 則夫