5. 老後資金の準備は早めに始めておこう
日本の高齢者世帯は、長寿化と物価上昇のなかで「年金だけでは生活費をまかなえない」という課題に直面しています。
統計によれば、70歳代の二人以上世帯では毎月2~3万円程度の赤字が続き、その補填を貯蓄の取り崩しに頼らざるを得ない状況です。
一方で、70歳代の貯蓄額は平均1923万円と高く見えるものの、中央値は800万円にとどまっており、資産の分布には大きなばらつきがあります。つまり、多くの世帯は「平均値ほどの資産は持っていない」のが実態です。
老後資金は世帯ごとの収支によって必要額が変わるため、「平均」や「モデルケース」だけをあてにせず、自分自身の家計状況に合わせて試算することが重要です。
早めに将来の家計収支を予測し、収入の確保や支出の見直し、投資や私的年金制度の活用などを検討してみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
加藤 聖人