4. どれくらいの貯蓄があれば安心できるのか?
老後に必要な貯蓄額は一律ではなく、世帯ごとの家計収支によって大きく変わります。毎月の支出が収入をどれだけ上回るか、あるいは逆に収支が均衡しているかによって、準備すべき金額の目安も異なります。
ここでは、実際に想定される赤字幅をもとに2つのパターンで考えてみましょう。
4.1 パターン① 年間20万円の赤字が続くケース
65歳でリタイアし、85歳までの20年間を年金生活と仮定すると、年間20万円の赤字は合計で「20万円×20年=400万円」となります。
日々の暮らしは切り詰めればやり繰りできても、急な出費や物価上昇の影響を考えると、この金額だけでは心もとないかもしれません。
4.2 パターン② 年間30万円の赤字が続くケース
同じ条件で赤字幅が年間30万円に広がった場合、必要な補填額は「30万円× 20年=600万円」となります。
旅行や趣味、子や孫への援助、家の修繕や家電の買い替えなどを加味すると、さらに余裕資金が必要になるのは明らかです。
このように、毎月の赤字がわずかに増えるだけでも、老後に必要となる貯蓄額は数百万円単位で変わってきます。総務省の統計で示される中央値800万円程度の蓄えでも「少し心許ない」と感じる人がいるのはそのためです。
一方で、平均値である約1900万円前後を目指せれば安心感は高まりますが、それには現役時代から計画的に貯蓄や資産運用で準備しておく必要があります。
老後生活を安定させるためには、毎月の赤字額を把握し、それに応じた備えを早めに始めることが重要です。