2025年9月5日に総務省が発表した7月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は実質で前年同月比1.4%増の30万5694円となりました。支出は増えたものの、米の消費は20%減るなど、依然として物価高の影響を実感する家庭が多いようです。
こうした中、PGF生命が実施した「2025年の還暦人に関する調査」では、60歳以降に不安を感じることとして、最も多かったのは「身体能力の低下(体の病気や寝たきりなど)」で48.5%。続いて「収入の減少(35.8%)」「物価上昇(34.4%)」「自分の介護(34.1%)」と続きました。
健康面やお金に関する不安を抱えている人が多いとわかります。
本記事では、シニアライフのお金や健康のリアルについて考えていきます。
1. 日本の公的年金制度についておさらい
シニアライフのお金について見ていく前に、日本の公的年金制度についておさらいしていきましょう。
日本の年金制度は「2階建て」と言われています。
さっそく国民年金と厚生年金のしくみを見ていきましょう。
1.1 1階部分:国民年金
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
2階部分の厚生年金に加入している人は、同時に1階部分の国民年金にも加入しています。加入している年金の種類は老後に受け取る年金額にも影響し、国民年金だけでなく厚生年金にも加入している人のほうが給付が厚くなります。