秋が深まり、涼しさとともに日暮れが早くなるこの季節は、将来の暮らしや家計を見直すのにぴったりのタイミングです。老後の生活を支える大きな柱のひとつが「厚生年金」ですが、実際にどのくらい受け取れるかイメージできているでしょうか。
特に「標準的な夫婦世帯」のモデルケースを知ることで、自分や家族の将来設計を考える参考になります。
この記事では、標準夫婦の厚生年金モデル額を例に、支給額の目安やシニア世代の平均年金月額をわかりやすく解説します。秋の落ち着いた時間に、老後資金の見通しを立てるきっかけにしてみてください。
1. 日本の年金制度
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。
具体的には、最新となる2025年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は10月の年金支給日に「約46万5000円」支給されます。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円