秋が深まり、今年も残りわずかとなりましたが、皆さまの家計の状況はいかがでしょうか。

特に年金生活を送る高齢者の方々にとって、物価高騰が続く現代の生活は厳しさを増しているかもしれません。2024年公表の厚生労働省の調査によると、高齢者世帯の半数以上が現在の生活を「苦しい」と感じています。

現役時代に築いた資産や年金が、老後の生活を支える主な収入源となる中で、どれだけの資金があれば安心して暮らせるのか、不安を感じている方も少なくないでしょう。

本記事では、70歳代の夫婦世帯の平均的な家計収支、貯蓄の実態、そして公的年金の受給状況を、最新の公的データに基づいて詳細に分析していきます。

データから見えてくる、多くの高齢者世帯が直面する現実と、老後の資金計画の課題を明らかにし、これからの時代を生き抜くためのヒントを探ります。

1. 生活苦しい高齢者はどのくらいいる?

まずは現代の高齢者の生活意識について、7月4日に公表された厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」より見ていきましょう。

上記によれば、高齢者世帯の生活意識は以下の通り。

1.1 高齢者世帯の生活意識

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

大変苦しいとやや苦しいを合計した「苦しい」は55.8%。

高齢者で「普通」と答えた人よりも、「苦しい」と感じている人が多くなっています。

ただ、「全世帯」と比べると、全世帯での「苦しい」は58.9%ですから、高齢者世帯に絞った方が苦しいと答えた人の割合は少なくなっています。