5. 【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「貯蓄」はいくら?《20歳代~70歳代の年代別》

総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、標準的な「65歳以上のおひとりさま世帯」の家計収支は、毎月2万円台の赤字となっています。

老後の生活費の赤字をカバーしたり、旅行やレジャーの「おたのしみ支出」、さらには医療費や介護費用が必要となったりしたときに頼りとなるのは、やはり貯蓄です。

そこで、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」より、年代別の単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。

貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

5.1 【20歳代~70歳代】単身世帯の貯蓄額《平均・中央値》

  • 20歳代:平均161万円・中央値15万円
  • 30歳代:平均459万円・中央値90万円
  • 40歳代:平均883万円・中央値85万円
  • 50歳代:平均1087万円・中央値30万円
  • 60歳代:平均1679万円・中央値350万円
  • 70歳代:平均1634万円・中央値475万円

60歳代・70歳代の平均は1600万円台ですが、より実態に近い中央値に目を向けると、それぞれ350万円・475万円と大幅に下がります。

60歳代以降の貯蓄額は、リタイア後の年金生活の安心感に繋がる大切なものです。定年退職金や相続などで一気に貯蓄が引き上がる人もいますが、いずれも確実に老後のマネープランに組み込める人ばかりではありません。

働き盛りの現役時代から、コツコツと資産づくりを進めていけると良いですね。

年金については「将来の見込み額」をただ調べるだけではなく、「繰上げ・繰下げ受給」「加給年金」「在職老齢年金」といった「受け取り方」に関するしくみについても関心をもっておくと良いでしょう。

6. 老後に起こり得るお金の負担増も考慮しながら資産形成を

この記事では、65歳以上単身シニア世帯の「家計収支・年金額・貯蓄額」を確認しました。

少子化が進む日本では、社会保障制度の維持が課題となっています。シニア世代においては、年々、保険料の負担が増えています。

年金額は、賃金や物価の変動などを背景に毎年度見直しが行われており、直近は3年度連続で増額改定されていますが、実は物価上昇率には追い付いていません。

年金制度のバランスを維持するためのしくみで、物価上昇率を上回らないよう調整されているためです。

くわえて物価高が続いており、年金額が増えたと実感できていない方もいると想像できます。

こうしたシニアの実態も考慮しながら、現役世代の皆さんは、老後に向けた資産形成を進めていく必要があります。

最低限の生活を維持できるほどの資産を確保できたら、老後に起こり得る保険料や医療費の負担増、介護費用、インフレなどに備えて、プラスアルファの資産を積み上げていけるのが理想です。

安心して老後を迎えられるよう、早めに取り組んでいきましょう。

参考資料

和田 直子