2025年10月、いよいよ秋が深まり、今年も残すところあとわずかとなりました。日々の生活を送る中で、老後の暮らしに欠かせない公的年金制度について、改めて考える良い時期かもしれません。

特に、来たる2026年4月からは年金制度の改正により、在職老齢年金制度の見直しや、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除などが控えています。

このような制度の変更は、将来受け取れる年金額や、現役世代の保険料納付に影響を与えるため、制度の基本を理解しておくことが重要です。

日本の公的年金制度は「2階建て」と例えられ、その仕組みや、将来いくら受け取れるのかについて、正確な知識を持つことは、豊かな老後生活を送るための第一歩となるでしょう。

本記事では、公的年金の基礎的な仕組みから、2025年度の年金額改定の例、さらに年齢別・男女別の平均受給額まで、具体的なデータに基づいて解説していきます。

1. 日本の公的年金制度を振り返る

公的年金制度は「2階建て」になっており、1階部分にあたる「基礎年金(国民年金)」の上に、2階部分にあたる「厚生年金」が積み上がるようなつくりです。

原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入するのは国民年金で、年金保険料(※1)は全員一律です。保険料を全期間(480月)納付すると、65歳以降で満額(※2)を受給できます。もし未納期間があれば、その期間に応じて満額から差し引かれます。

一方、会社員や公務員などが基礎年金に上乗せして加入するのが「厚生年金」です。

厚生年金は、収入に応じた年金保険料(※3)を納めます。受給額は、加入期間と在職中の収入に応じて計算されます。基本的には、加入期間が長く、収入が高かった人ほど、将来受け取れる金額は多くなります(ただし上限あり)。

※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度は月額6万9308円
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される