物価高や社会保険料の負担増が続く中で、年金だけで老後の生活を賄うことに不安を抱える方が増えています。
2%を超えるインフレが続く中、エネルギーや食料品などの生活必需品の価格高騰は、家計に大きな圧迫を与え続けています。
その一方で、少子高齢化が進行する中、政府はiDeCoや企業型年金の掛け金上限の引き上げを含む制度改革を計画しており、シニアの資産形成への支援を強化しようとしています。
こうした経済環境と制度改革を踏まえつつ、本記事では、70歳代の二人以上世帯における貯蓄額の平均や中央値の実態、さらには金融資産を持たない世帯が直面する厳しい現実について詳しく解説します。
老後の生活を安定させるために、いま何を備えるべきかを具体的に考えていきましょう。
1. 70歳代・二人以上世帯の貯蓄額は?平均と中央値から見るシニアのお金事情
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」から、70歳代の貯蓄額を見てみましょう。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額の平均値と中央値
- 70歳代:平均値1923万円、中央値800万円
平均値だけを見ると「2000万円近く持っている世帯が一般的」という印象を受けますが、これは一部の高額資産を持つ世帯が全体の数字を押し上げている結果です。
実際には、中央値の800万円という数字が、より生活実態に近い水準だと考えるべきでしょう。