今月は偶数月であり年6回の年金支給日がありました。将来のお金について考えたときに漠然とした不安を抱える方もいるのではないでしょうか。「将来のお金はどのくらいあれば安心なのか」本当に必要な老後資金は、人によって全く異なります。

この記事では、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の世論調査をもとに老後の生活費に対するリアルな意識や、貯蓄格差の現状を読み解きながら、これから老後を迎える私たち世代が、自分らしい未来を築くためのヒントを具体的にご紹介します。

1. 20歳代〜70歳代の貯蓄額からみえる「貯蓄格差」の現状

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を参考に、単身世帯と二人以上世帯の各世代の貯蓄額をみていきましょう。

1.1 単身世帯の貯蓄状況

単身世帯では、平均値と中央値の間に大きな差が見られます。

  • 平均値:全員の貯蓄額を合計し人数で割ったもので、一部の貯蓄が多い人に影響されやすい数字
  • 中央値:貯蓄額を順に並べたときに真ん中にあたる人の貯蓄額で、より多くの人の実情に近い数字

これは、一部の貯蓄が多い人が平均値を大きく引き上げているためだと考えられます。特に、その差が顕著なのは以下の世代です。

差が大きい世代:20歳代と50歳代

20歳代は平均161万円に対し、中央値は15万円と少ないことがわかります。これは、貯蓄をはじめたばかりでまだ貯蓄が少ない人が多い一方で、親からの援助や早くから資産運用をはじめた一部の人が貯蓄額を大きくしているとも考えられます。

50歳代は平均1087万円に対し、中央値は30万円です。この差は特に大きく収入が安定している人と、働き方やライフイベント、予期せぬ出費など、様々な要因で貯蓄が難しい人もいます。このように貯蓄の二極化が進んでいることがわかります。

差が比較的少ない世代:60歳代と70歳代

年を重ねるにつれて、定年後の生活に備えて貯蓄を増やした人が多くなり、全体として貯蓄額が一定の範囲に収まってきている傾向があります。

1.2 二人以上世帯の貯蓄状況

【二人以上世帯】各年代の貯蓄額

【二人以上世帯】各年代の貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

二人以上世帯でも、単身世帯と同様に平均値が中央値を上回る傾向がありますが、差は単身世帯ほど極端ではありません。

差が大きい世代:20歳代と30歳代

平均値と中央値の差は単身世帯よりは小さいものの、この世代は子育てや住宅購入などでお金がかかり、貯蓄額にばらつきが出やすい時期です。

差が比較的少ない世代:60歳代と70歳代

この世代は貯蓄のピークを迎えている世帯が多く、平均値と中央値が比較的近い値になっています。多くの世帯が老後の生活に備えて、一定の貯蓄額を確保していることがうかがえます。

実態に近い中央値を目安にすると、より多くの世帯の貯蓄状況を理解するのに役立ちます。貯蓄は年齢や家族構成によって大きく変わるため、自分の状況に合わせて計画を立てることが大切です。