わずか1日で株価が▲10%暴落
2015年10月14日(現地時間)、米国小売大手のウォルマートの株価が1日で▲$6.70下落し、$60.03で取引を終えました。1日で▲10%の下落は暴落と言うべきでしょう。この株価は2012年初頭とほぼ同水準です。また、主力株であるウォルマートの暴落により、NY市場では代表的な株価指数であるNYダウも大幅安となりました。
業績低迷の長期化懸念が台頭
きっかけはQ2(第2四半期)の決算発表の内容です。2016年1月期EPS(1株利益)の予想を従来の$4.70~5.05から$4.40~4.70に引き下げ、2017年1月期EPSがさらに▲6%~▲12%減少すると公表したのです。
コスト増が続く
足元の売上はまずまずです。ドル高による海外事業のドル換算額の目減りやガソリン価格の下落にもかかわらず、連結売上高は対前年同期比でほぼ横ばい、粗利額もほぼ横ばいを維持しています。
しかし、店舗の競争力を高めるために従業員への手当を引上げ、さらにeコマース事業者に対する対抗としての投資・費用が増加すること等から、当面は減益基調が続くとの見通しが示されました。市場にはネガティブなニュースでした。
かつての「小売の教科書」も新しい競争に立ち向かう
ウォルマートは一昔前まで世界の小売事業者の教科書的存在でした。しかし、現在は強力なeコマース事業者が台頭し、リアル店舗の競争力強化とネット対応とに追われています。
ウォルマートは日本で例えると、郊外にある大きめのGMSの店舗にあたります。お客さんは自動車で週に1~2回訪れ、食料品から衣料雑貨までをまとめ買いして帰ります。家も大きく冷蔵庫も大きいので、まとめ買いをしても困りません。
しかし、昨今ではECサイトが充実し、低コストで宅配していますので、当然ウォルマートも影響を受けざるを得ません。なかなか手ごわい相手と競争しなければならないことを、市場は再認識させられました。
対岸の火事か?
日本でもウォルマートを参考にした店舗を運営する企業が全国にあります。特に郊外や地方に有力なものが多いです。日本でも似たような問題に直面するのか、あるいはいち早く対策を打ってくるのか、今後の推移が大いに注目されます。
【2015年10月15日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部