国民健康保険は、会社の健康保険などに入っていない自営業者やフリーランス、75歳未満のシニア層などが加入する公的な医療保険です。そんな国民健康保険ですが、「保険料の上限が2022年度から引き上げが続いている」ことをご存知ですか。とくに2025年度からは、上限額が106万円から109万円に引き上げられます。
一方で、住民税非課税世帯のような収入の少ない世帯も、国民健康保険料は納める必要があります。「なぜ住民税の非課税世帯も国民健康保険料を払わないといけないのか。」今回は、課税・非課税世帯にかかわらず国民健康保険料を払わないといけない理由を、税と社会保険料のしくみを交えてわかりやすく解説します。
1. 国民健康保険料と住民税は「徴収目的」が異なる
国民健康保険料は「社会保険料」、住民税は「税金」として徴収されます。
それぞれ徴収される目的や使い道は異なります。国民健康保険は、病気やケガをした際の医療費支出に備えて、被保険者同士が保険料を支払って互いの医療を支え合う「相互扶助」のもとに成り立つ社会保険制度です。保険料は、加入者の医療を支える重要な財源となります。
一方、住民税は地方自治体の行政サービスのために充てられる費用です。
教育や福祉、ゴミの収集、消防など、日常にかかわるさまざまなサービスの費用を、住民全員で負担するようなイメージです。
それぞれ充当する目的が異なるため「税金の支払いが不要でも、社会保険料の支払義務は免除されない」といったことが起こり得ます。次章では、住民税非課税でも国民健康保険料がかかる理由を解説します。