2019年1月23日に行われた、日本電産株式会社2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:日本電産株式会社 代表取締役会長/最高経営責任者 永守重信 氏
日本電産株式会社 IR・CSR推進部部長 永安正洋 氏
2019年3月期第3四半期決算説明会
永守重信氏(以下、永守):いつもの(決算説明会の)様式から、今回は変えさせていただきました。いつもは台の上で私のワンマンショーみたいなことをやって、責任を負う人が一個もしゃべらないで帰ってしまう。
長い間それをやってきまして、「いろんなかたちを変えていかなければいけない」という社内のあれ(動き)で、今回(は変更しています)。次は、もう少しお顔が見えるようにしたいと思うんですけれども、あえて顔を見せる必要もないと思いますので。
今日は、そういう点では場所も変わったし、形式も変わったんだけども、「最後になったら、結局ワンマンショーじゃなかったか?」とならないように、きちっと細かい説明もさせていただこうと考えております。
とくに、前回緊急記者会見をやった場所が非常に狭くて……(ほかに広い場所が)とれなかったものですから、大変席がなくて、ご迷惑をかけました。今日は、そういうことのないようになっておりますので。
それから前回、緊急記者会見の時にぶら下がり(取材)をさせていただいておりますので、今日はぶら下がりはなしということでございます。質問のお時間を多くとって、いろんな質問が……決算のみならず、この間の緊急記者会見の関係や将来の構想とか、そういう質問があろうかと思いますから、ぜひその時間の中で、質問していただきますように。
細かい質問はきっと、社長・CFO・IR担当の4人がきちっとお答えすると(思います)。こういうかたちでやらせていただきたいと思います。
最初に、とくにトピックス……この前(の記者会見)からわずか一週間しか経っていませんが、「なにか変わったのか?」というところについて、一週間経ってけっこう変化も起きてきますから、そういうところもお話をするんですが。
その前に、12ページの新しい製品です。この一週間で(「飛び出すカメラ」の)動力機構の量産化が始まったわけですが。
また、台湾で買収しましたCCI社が非常に好調です。それと同時に、将来のかなり融合性のある製品(がありますので)、この2つを永安から説明させていただきます。その後、質疑応答に入りたいと思います。
「飛び出すカメラ」の動力機構を量産開始
永安正洋氏:それでは、スライドの12ページをご覧ください。「飛び出すカメラ」の動力機構量産開始ということで、ご報告をさせていただきます。
まず、「飛び出すカメラ」とはなんだという話だと思うんですが。そこにありますように、カメラだけポッと飛び出す、これが「Pop-up方式」。それから、カメラ機構全体が中に入っていまして、全体が上がってくる「Slide-up方式」ということです。すでに中国のスマートフォンメーカーさんで、実際にそういうモデルが発表され、販売も開始されているものでございます。
「なぜ、こういうものが出てきたのか?」ということなんですけれども。ご存じのとおり、みなさんがお使いのスマートフォンは、「ベゼル」というスクリーン以外のスペースがあると思います。これがだんだん小さくなりまして、とくに有機ELスクリーンの場合は「フルスクリーン」といって、スマートフォン本体の全体がスクリーンになることになります。
そうしますと(どうなるかと言うと)、一般的に今のスマートフォンは、外の人を撮るカメラと自分を撮るカメラの、だいたい両方が入っております。自撮りカメラは自分のほうを向いていますので、スクリーンのどこかに入れないといけないということになります。このあたりをいろいろと工夫しながら、あまり目立たないかたちでカメラを配しているスマートフォンが多くなっています。
(それに対して)この方式は、その問題を解決するということです。カメラを置く場所をなくして、実際に自分を撮る。もしくは、Slide-upの場合はカメラそのものを使うということですが、常にスマートフォンのカメラで撮っているわけではないので、カメラを使う場合だけスライドアップさせて撮るという方式が考案されております。
これを実現するために必要なメカニズムが、ここに書いてありますけれども。精密ギアとステッピングモータの組み合わせが基本になっております。これは今、当社が中国系の2社から注文をいただきまして、量産に入ったところでございます。
今後の市場の見込みが、右側に書いてございますけれども。実際に2017年は、16億5,000万台ぐらいのスマートフォンの台数でございましたが、その半分を占める中国と韓国の5社は、基本的に……全部ではないと思いますけれども、この「飛び出すカメラ」……Pop-up方式もしくはSlide-up方式を採用したスマートフォンモデルを出していくようになるのではないかと見ております。
その前提で考えますと、そこに書いてありますように、(動力機構は)2020年には1,000億円近い市場になっていくと見ております。
TOB案件:台湾CCI社の株式取得(48%)を完了
続きまして、スライドナンバー13ですけれども。これは前回の決算説明会でもご説明申し上げましたが、台湾のCCI社の株式取得を完了いたしまして、当社の連結対象としております。
ここでやっているものが、一番左にありますけれども、ヒートシンク・ヒートパイプ・ベーパーチャンバーというものでございます。とくに今需要が非常に高いものが、先ほど来申し上げているスマートフォンでございます。
みなさんもご存じのとおり、スマートフォンの世界でも、2019年の終わりぐらいにはもう5G対応のスマートフォンが出てくるということで、「2019年は5Gのスマートフォンの元年だ」と言われております。データ速度が100倍になると言われておりまして、その分だけデータ量も多くなりますので、当然スマートフォン側のCPU・MPUでの処理も速くならないと、データ(処理)がこなせません。
ということで、全体的にCPU・MPUのチップの処理速度も上がってまいります。処理速度が上がってきますと、熱が必ず出て、今まで以上にスマートフォンのCPU・MPUの熱対策が大きな問題になります。
現在も一部のスマートフォンで使われておりますけれども、このベーパーチャンバーは、「ベーパーが気化する」という意味です。「チャンバー」は「部屋」みたいな話なので、小さな部屋に分かれたところに液体が入っておりまして、それが気化したり、また元へ戻ったりするということで、熱を薄く伸ばすという役割を果たしております。
「これだけで足りるのかどうか」ということで、ここに少し書いてあります。当社がもともとご提供してまいりましたファンに加えまして、こういういろんな熱処理技術を加えることで……そこにありますが「サーマルモジュール」という、いわゆる熱処理モジュールを開発し、お客さまに納入していこうと考えております。
13ページにありますのは、今申し上げたファンとかITプロダクトだけではなくて、車とかドローン/ロボットも、非常にコンパクトなものが要求され、かつそこで非常にモータでもバッテリーでも、動くとやっぱり熱が出てくるということでございます。そのため、この熱処理をうまくやることが、よりコンパクトな軽薄短小の(もの)……例えばトラクションモータをつくる鍵でもございますので、このサーマルソリューションが全般的に重要になってくると考えております。
そういう意味で、今回の台湾のCCI社の買収によりまして、従来の空冷のためのファンから、全体的な熱処理……サーマルソリューションを提供するところに、当社の事業を移していくという考えでございます。
以上でございます。
永守:はい。それでは、質疑応答に入りましょうか。どこからでもけっこうですから、言っていただいたら。資料はもう全部配布しておりますから、(第3四半期決算の)数字の棒読みはいたしません。