その人に話を聞いたとき、「自分は疑い深くて他人のことを簡単に信用しない、意地悪な人間かもしれない」と話していたことが印象的でした。筆者は仕事柄、多くの富裕層や経営者の人から話を聞く機会がありました。そのとき、多くの人が同じようなことを口走るのです。「自分は疑い深い」と。
たとえば「アナリストの人がいいと言っている。専門家が買いどきだと言っているのだから買おう」と容易に信じてしまうようなタイプではないということですね。その人は「本当にそのアナリストが言っていることが正しいのか検証したくなる」と言っていました。これはほかの大口個人投資家の方も言っていたことで、人が話したことを徹底的に検証するのだそうです。
普通の人ならば「あの専門家が言っているのだから」と、検証までする人はあまりいないと思います。しかし、そういうところを突き詰めていけるというところに、億り人になるような個人投資家の強みがあるような気がします。人が言ったことにそのまま乗っかるのではなく、人の話したことを検証していく中で自分のトレードを見つけることも多いと言っていました。
損をしたからといって途中でやめてしまわないこと
これも、年間数億円単位で稼ぐ個人投資家の方が多く口にすることです。今回お話を聞いた億り人の方も、こう言っていました。「最初は何もしなくても結構勝てて、『株の才能があるかも』と調子に乗っていたけれど、途中からめっきり勝てなくなって大損をした。でもそれでやめてしまったら何も学ばず、お金がなくなっただけだと思った」と。
確かに、損をしてしまったら次の一手が怖くなるというのはよくあるパターンです。悔しくて取り返したい気持ちとこれ以上損をしたらどうしようとためらう気持ちが入り混じって、結局損をしたくない気持ちが勝ってやめてしまうんですよね。しかし、それではただ資産が減っただけだと捉えているのも、億り人の方たちに共通の考え方のようです。次はきちんと勉強し、自分なりに研究してやってみようと、投資のやり方を変えるんですね。
ただし、これは余裕資金の中で損が出たときの話。もう生活できなくなるくらいまで資産を目減りさせるのはご法度です。投資はあくまで「なくなってもいいと思える金額」「いますぐゼロになっても生活に全く支障がない金額」の範囲内で行うことが原則。それ以上の金額を投資につぎ込むことはやめたほうがいいでしょう。
「〇〇だから仕方ない」とあきらめることはしない
今回お話を聞いた人のように、日中サラリーマンをしながら投資をする、いわゆる「兼業投資家」にありがちなのが「兼業で忙しいから相場が見られないのは仕方ない」とか「兼業だから負けても仕方ない」とあきらめることです。相場には当然プロも、専業投資家もたくさんいます。そういう人と同じ土俵で投資をしているのです。
だからこそ、「〇〇だから仕方ない」というあきらめ半分のような気持ちでやっているとほぼ負けると、その人は言います。言い訳を考え始めてしまうと、人間は積極的な行動に出づらいんですよね。ポジティブな気持ちを抱いていない状態でやっても、大概のことがうまくいきません。これは誰にも経験があると思います。投資に限ったことではないですよね。
「言い訳を考えている時点で、もうへっぴり腰で相場に臨むようなもの。そういう人を神様は見ている」と彼は笑います。確かにへっぴり腰になるような状況であれば、ほとんどの場合、冷静な判断が下せる状態ではないと思います。そんな頭の状態で、投資をやろうと思うと負けてしまうのも当然と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。億り人の方々に話を聞いていると、やはり投資というものをよくわかっていて、上手な距離の取り方ができているという感じがします。熱くなりすぎず、かといって冷めすぎず、ちょうどいい距離感で相場を見ている人が多いような印象ですね。もし投資をやるのであれば、こういった億り人の方々のマインドを思い出しながらチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
大塚 ちえ