2025年8月、お盆休みを利用して実家へ帰省し、親御さんと年金の話をした人もいらっしゃるかもしれません。その際に、日本の年金制度について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省が公表した2025年度の年金額は1.9%の増額となりましたが、物価上昇が続く中、実際の生活実感とはかけ離れていると感じる方もいるかもしれません。

この記事では、国民年金と厚生年金の基本構造から、現役時代の働き方が年金額にどう影響するのか、そして年代別の平均受給額まで、具体的なデータを用いて解説します。ぜひご自身の老後資金計画の参考にしてください。

1. 国民年金と厚生年金「しくみ図で制度の基本を解説!」

「日本の年金制度は2階建て」と言われます。1階部分が「国民年金(基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」です。

まずは、それぞれの年金の基本を確認しましょう。

1.1 1階部分:国民年金

  • 加入対象者はどんな人?:原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
  • 年金保険料はいくら?:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
  • 老後の受給額はどう決まる?:保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給できる(※2)

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分:厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入

  • 加入対象者はどんな人?:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方
  • 年金保険料はいくら?:収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
  • 老後の受給額はどう決まる?:加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。

国民年金と厚生年金は、加入対象者、保険料の仕組み、将来受け取れる年金額など、上記のような違いがあります。

これらの違いを理解して、自分の年金受給額を計算し、収入を予測しながら、将来の生活設計を考えていくとよいでしょう。

次章で、2025年度に1.9%増額した年金額について解説します。