8月の暑さが続く今は、冷房代や飲料・食費がかさみやすく、年金で暮らす夫婦世帯には家計の負担が見えやすい時期です。とはいえ、生活費は世帯ごとに差があり、持ち家か賃貸か、車の有無、医療費や介護保険料の負担などで大きく変わります。

本記事では、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の生活費を「食費」「住居」「光熱・水道」など、内訳ごとの費用を整理しました。

ご自身の家計に当てはめながら、無理のない支出設計を一緒に組み立てていきましょう。

記事後半では、シニア世代の平均年金月額や貯蓄額についても触れていきます。

1. 【65歳以上無職夫婦世帯】ひと月の家計収支とエンゲル係数

総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。

1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)

収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

家計収支

  • ひと月の赤字:3万4058円
  • エンゲル係数:29.8%
  • 平均消費性向:115.3%

この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。

収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。

そのため、不足分は貯蓄を取り崩してカバーしているのが実情です。