4. 老後に年金だけで100%生活できているシニア世帯はたったの「4割」

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給する高齢者世帯のうち、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%、つまり約6割が公的年金以外のお金が必要な状況にあることがわかります。

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

老後の生活費を公的年金だけで賄うのは難しい場合も多くあります。

不足分を補うには、定年後の就労による収入や、これまでの貯蓄の取り崩しに加え、資産運用で得られる配当金や分配金などを効果的に活用することが求められるでしょう。

5. まとめ

65歳以上二人以上世帯のうち、貯蓄4000万円以上を保有する世帯は約2割。一方で、貯蓄額が500万円に満たない世帯も21.7%と、貯蓄額の二極化が進んでいます。

年金だけで生活できている世帯は全体の約43%にとどまり、多くの世帯で貯蓄の取り崩しや仕事を続けることで生活を支えている状況です。

シニア層の就業率は上昇傾向にあり、「何歳まで働くか」は老後の暮らし方や家計状況によって大きく異なります。

安定した老後生活のためには、現役世代のうちから年金以外の収入源を確保できるよう、貯蓄や資産運用の習慣を持つことが大切です。

まずは自分の家計や将来の年金見込みを把握し、必要に応じて働き方や資産形成の方法を見直していきましょう。

参考資料

中島 卓哉