7. 2025年6月13日「年金制度改正法」成立

公的年金の制度は、現役世代・シニア世代どちらにとっても、暮らしや仕事と密接な関係があります。

2025年6月13日、国会では年金制度改正法が成立しました。今回の改正の主な見直しポイントを整理しておきましょう。

7.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》

社会保険の加入対象の拡大

  • 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し。いわゆる年収「106万円の壁」撤廃へ

在職老齢年金の見直し

  • 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ

私的年金制度の見直し

  • iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
  • 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

8. 年金生活者支援給付金は貴重な収入に…請求書が届いたら速やかに提出を

「年金生活者支援給付金」という制度について、本記事で初めて知ったという方も少なくないかもしれません。

この制度は、該当する年金受給者の方にとって、生活を支えるための大切なサポートのひとつとなるでしょう。

対象となる方には、日本年金機構から専用の請求書が送付されます。届いたら、案内に従って必要事項を記入し、できるだけ早めに提出するようにしましょう。

注意したいのは、支給要件を満たしていても、自分で請求手続きを行わないと給付金を受け取ることができないという点です。「届いたけれど、よくわからないから」と放置してしまうと、せっかくの支援を受け損ねてしまう可能性もあります。

給付額は決して少額ではなく、年金にプラスして受け取れる貴重な収入になります。制度の内容をしっかり理解して、必要な手続きをきちんと済ませておきましょう。

参考資料

和田 直子