3. 70歳代の平均貯蓄額
そして次に、70歳代二人以上世帯における「貯蓄額」の水準を見ていきます。
3.1 【70歳代】二人以上世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
- 平均:1923万円
- 中央値:800万円
70歳代二人以上世帯の貯蓄額を見ると、平均値の1923万円と中央値の800万円には、大きな差があることがわかります。平均値とは、全てのデータを足し合わせて、その個数で割った値であり、中央値とは、データを小さい順に並べたときの、ちょうど真ん中にくる値という数字です。つまり、この統計結果から次のようなことがわかります。
- 3000万円を大きく上回る貯蓄を保有している世帯が一定数存在していること
- 高額な貯蓄保有世帯が、平均値を押し上げていること
- 全世帯の過半数において、貯蓄額が800万円以下であるということ
4. 70歳代以上夫婦二人世帯の生活実態
ここからは、これまで説明してきた数字をもとに、具体的な収支などを確認してみましょう。
4.1 収入と支出のバランス
70歳以上の夫婦二人世帯の場合、収入となる年金は平均値で見ると月額約27万3000円です。一方、日々の生活にかかる非消費支出を含めた支出金額は平均で月額約28万5000円となっています。
これらのことから、70歳代の夫婦二人世帯における「平均的な年金収入」と「平均的な支出」を比較すると、月々の家計は1万2000円ほど赤字になることがわかります。
4.2 貯蓄額による補填
年金収入の他に収入がない場合、月々に発生する赤字額は貯蓄で補填する必要があります。
仮に、先ほど確認した70歳代二人以上世帯の貯蓄額の中央値である「800万円」を保有しているとします。
老後に月ごとに1万2000円の赤字が発生したとしても、55年程は貯蓄額で赤字を賄って生活ができる計算となります。
4.3 老後のために考えておくべきこと
このように、老後生活に必要な貯蓄額を考えるためには以下のようなステップが必要になります。
・老後の収入(年金収入)を知ること
まだ受給していない年金収入を確認する手段としては、ねんきん定期便をチェックすることや、シミュレーションサイトでの計算などが挙げられます。
・月の生活費を知ること
まずはひと月あたりの家計簿をつけて、毎月どの程度の出費が必要なのかを確認しましょう。現状を知ることで、不要な支出を削るきっかけにもなります。
・現在の貯蓄額を把握すること
現役時代より収入が大きく減ってしまう老後の生活においては、それまでに蓄えた貯蓄額が生活の支えとなります。自身の貯蓄額と、老後に必要な貯蓄額を把握して、老後のための生活プランを立てていきましょう。
水準額や中央値はあくまでも参考値であるため、実際の自分自身の数値を把握して、老後に必要な資金を確認することで、安心して老後生活を迎えることができるはずです。