2. パート労働者の社会保険加入基準「106万円の壁」が廃止される方針に
「106万円の壁」とは、一定の条件を満たす勤務先で働く場合に、社会保険への加入が義務付けられる年収の目安です。
この基準を超えると社会保険料の負担が発生し、手取り額が減少することで、結果的に年収の壁を超える前より可処分所得が減ってしまうケースもあります。
現行の制度では、「従業員数51人超の企業(短時間労働者を除く)」に勤務し、かつ所定の条件を満たした場合、パートやアルバイトでも社会保険の適用対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金の月額が8万8000円以上であること
- 雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
- 学生でないこと
今回の年金制度改正法の成立により、今後は「週20時間以上働いていること」「学生でないこと」の2つの条件のみが適用要件として残ることになります。
「106万円の壁」とされていた「月額8万8000円(年収106万円)以上」という収入基準が撤廃されることで、地域ごとの賃金差による不公平が是正されることが期待されています。
一方で「週20時間以上の労働時間」という条件は引き続き残るため、年収の壁に関連する問題が完全に解消されるわけではなく、根本的な課題の解決にはなお時間を要するとうかがえます。