4. 年金を「月20万円」に近づけるためのポイント
「年金を月20万円以上受け取るのは難しい」と感じる人も多いでしょう。しかし、公的年金の受け取り方を工夫したり、公的年金に頼らない年金資産づくりをしたりすれば、月20万円の年金を受給できる可能性があります。以下の2つの方法を検討してみましょう。
- 年金の繰下げ受給
- iDeCoの活用
公的年金を増やしたいのであれば、年金の繰下げ受給を活用しましょう。年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受給可能な老齢年金の受け取るタイミングを遅らせることで、通常よりも多くの年金を受給する方法です。
繰下げすると1ヵ月につき0.7%年金が増額されます。最長10年まで繰下げが可能で、10年繰下げすると84%年金が増えます。ただし、一度受給し始めると再度繰下げはできないうえ、繰下げ期間中は給与や貯蓄といった、別の収入・資産を頼らなければなりません。健康状態なども考慮して、どれくらいの期間繰下げするべきか検討してみるとよいでしょう。
公的年金に加えて私的年金を増やすのであれば、iDeCoの活用を検討してみましょう。iDeCoは、拠出した掛金の運用結果で将来の年金額が決まる「確定拠出年金」のひとつです。特徴は以下の3つです。
- 掛金が全額所得控除の対象になる
- 運用益が非課税になる
- 受け取り時も一定額までなら非課税になる
税制優遇に強みのある制度で、節税しながら年金資産づくりが可能です。年金形式だけでなく一時金形式でも受け取れるため、退職金の上乗せとしても活用できます。ただし、原則60歳まで引き出せない点には、注意しましょう。
5. まとめ
年金を月額20万円受け取るには、約750万円の年収が必要です。年収アップのために昇進・昇級を目指すだけでなく、年金の繰下げ受給やiDeCoの活用など、資産との向き合い方も大切になってきます。
自分に合った方法で年金受給額を増やし、老後の生活が豊かになるよう備えましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
石上 ユウキ